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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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初めての後輩-7

「うほぁ!重てぇっ!おーい誰かぁ、手ぇ貸してくれぇー!」
「大丈夫ですかぁ!いきますよ、せーの!」

俊敏な動きで重たい入荷先への商品の荷物に苦戦する上司にすかさず応援へかけつける黒崎。

「やー助かったよ、もし落としでもして傷でもあったら取引先の信用落としかねないし、下手すりゃ契約を打ち切られるからな。」
「そうっすよねー、あっ!今行きまーす!」

向こうから手招きをされて早々と駆け寄る彼。

「……。」

そんな彼に視線を置き。


「巴!」
「っ!」

仕事も終わり帰ろうとすると、その背中に声を掛ける黒崎。

「お疲れ!」
「うん、お疲れ…大活躍だね。」

挨拶も早々に本題に入り、近くの喫茶店へ向かう私と彼。


客足もそこそこで、ウェイトレスたちが夜遅くにも関わらずテキパキと働く。

私たちのテーブルに珈琲を二つ置き去って行ったところを見図り彼はさっそく。

「で、……考えてくれたか?」
「それは…。」

どう答えて良いか結局明白な回答も思いつかず、無意識に珈琲に視線を落とす。

「俺は本気だから…、決して生半可な想いで告白なんかしてない。」
「黒崎…。」

やはり彼の顔は本気だ。

「私は…。」
「駄目、か?」
「いや、アンタはとっても良い人よ、付き合ってた頃だって楽しかったし、けど。」
「けど?」
「……。」

私、追い詰められっぱなしだな、最早口を開くのも億劫になってきて。

「……もしかして、もう付き合ってる奴が居るとか?」
「っ!!」

図星を突かれ、目をパッと見開く。

彼もそれに察しがつき。

「マジかよ、どんな奴だ。」
「どうって、うーん同じ弓道部、かな。」
「あぁだからあの時。」

普通に考えれば彼氏持ちの私が彼との復縁何て断るが。

「…そっかー。」
「ごめん、もっと早く言えば良かったよね。」
「……いや、それはいいけど。」
「……。」

残念そうに落ち込む彼。

「…そいつはお前の事、大事にしてるのか?」
「え…。」

てっきり諦めてくれるのかと思ったがまさかの質問、いやむしろ当然かな彼の私への想いを考えれば。

「その弓道部員と一緒に居てお前は今、幸せなんだな?」
「……それは。」

はぁ、何だろう最近の私は、無謀なバイトに挑み上司に怒られてばっかだし、若葉からも私がウジウジするもんだから「バカ!」って言われて呆れられて、この黒崎からも困る質問責めされて、まぁ悪いのは私何だろうけど。

「ごめん、なんか俺ばっかり一方的に質問して。」
「黒崎…。」

もしかして困り果てる私を察してくれた?

バツ悪そうに頭を掻き、横を向く彼。

質問された事を考える、すると浮かび上がる一つの明白な回答。

それは今の彼と居ても幸せとは言い難い、その事実。

未だ彼、蓮とは口も聞いていない、今日も居るには居たけど、ろくに顔も合わせないで、そればかりか私が勇気を持って彼の所へ行こうとしたら避けるようにどっか行って。

大体アイツはいい加減なのよ!いつだって単細胞でくだらないジョークばっか言って私が本気で怒ってるのにも気づきもしないでぇ!

自分でも信じられないくらい恋人の悪い所ばかりを考える。

「巴…。」

頭に浮かぶのは彼の何も考えてなさそうなムカつく顔ばかり。

「もういい。」
「え…。」
「俺がバカだった、一度は別れたのにもう一度付き合おうなんて、まして既に交際してる奴が居てそいつと楽しくやってるなら尚更。」
「黒崎。」

彼は私が蓮と交際相手と上手くやっていると思い、まして今私と彼がどんな状態かなんて知る由もなくて。

「疲れてんのに引き留めて悪かった、帰りのバスもうないよな?タクシー呼ぶわ。」

と、この場に居るのが辛いのか逃げるように店を出ようとする。

黒崎、…私の事を想って、本当はフラれて辛いのに、謝ってきてこんなフッた私何かの夜道の事まで気にかけてくれて。

珈琲代も運賃も当然のように全て自分で請け負う素振りに。

「待って!」
「ん?」

溜め込んだ気持ちを爆発させるが如く勢いよく立ち上がり声をあげる。

「上手くなんか、いってない…。」
「え…。」



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