第2の犠牲者-2
県警本部に8時に到着したマギーは華英と別れて本部長室に行く。もうすぐ捜査対策本部が立つ。その対策本部長になると言う重みに足が引っ張られるような感覚を得ているマギー。しかし足は確実に前に進んでいた。
「失礼します。」
マギーは本部長室に入る。中にはすでに石山本部長と山中がいた。
「おはよう、悪かったな。」
「いえ。」
敬礼して2人の元に歩み寄る。
「今朝の事件で昨日の犯行声明が本物だと言う事が証明されてしまったのは電話で話した通りだ。上原には当然連絡したが、対策本部を立てて捜査を始めるよう指示を受けたよ。」
若菜を上原と呼び捨てに出来るのは石山ぐらいだろう。
「対策本部長を受ける覚悟はできたか?」
「はい、勿論です。」
毅然と答えるマギーに石山と山中は安堵にも似た笑みを浮かべた。
「早速8時半から第1回目の対策本部会議を行う。」
「では昨日の事件の詳細と、今朝の事件のこれまでに分かっている事を頭に入れておきます。」
「ああ、頼んだぞ。」
「はい。」
マギーは敬礼をして本部長室を出て行った。
「さすがですね。」
「ああ。まだ荒削りな部分はあるが、マギーは上原について事件を指揮する姿を間近で見ている。任せて大丈夫だろう。」
「はい。フォローは全面的にしていきますので。」
「ああ。」
山中はそう言って捜査一課に戻って行った。
山中が捜査一課に戻るとマギーはパソコンで捜査状況を確認していた。華英は今朝の事件についての情報を集めていた。それを纏めるとマギーに手渡した。
「ありがとう。」
「いいえ?ボス♪」
マギーは呆れたかのようにマギーを睨み溜息をついて書類に目を向けた。
時間になる。マギーと華英は第1回全裸張り付け事件対策本部会議が開かれる第1会議室に向かう。会議室は第5まであるが、第1会議室を使う場合、ほとんどが重大事件の会議を行う際に使用される。第1会議室を使うと聞いただけで殆どの者は事の重大さを思い知る事になるのであった。
まずマギーは他の刑事らと同じ席に着席する。近隣の各署の刑事も集まっており、ざっと100人はいる。ガヤガヤとしていた会議室だが、石山が入室するとそれがピタッと止み緊張感に包まれた。石山は上座に立ち会議室全体を見渡した。