王と私-1
「ねえ、コウガ。」
「ん?」
「どうして記憶が戻ったのに私を無理やりにでも自分のものにしようとしなかったの?」
彼は柔らかさを確かめるかのように私の胸を揉みさすりながら答えた。
「おまえが望んでいなかったからだ。」
敏感な先端を軽く噛まれた。
「あ…もう、まじめに答えてよ。」
なおも舌を先端に這わせながら、
「ムリに求めてもおまえはオレを愛さない。」
彼の舌は胸からお腹、さらにその下へと這い下りていった。
カサ、と音がした。
私は少しだけ足を開いた。
「ここ?ねえ、私のここが欲しい?」
「ああ、欲しいさ。」
両足を大きく肩に抱え上げられた。
私のそこはコウガの目の前に全て晒されている。彼は鋭い眼光でじっと見つめている。
「いいよ、コウガのしたいようにして…。」
彼は息を荒くし、私の両足の間に顔を突っ込んできた。
「あうぅ…。」
這い回っているのをはっきりと感じる。コウガの舌が、唇が、私の谷間を。
「ねえ、そこだけでいいの?」
「よくないさ。」
「ううぅ…。」
吸われている。敏感な蕾を。いや、それは彼の指で既に剥き出しにされ、蕾ではなくなっている。
コウガはそれを指先で摘まんだ。
「え、なに?何するの。」
「こうするのさ。」
ブルブルブルブルブルブル。
激しく揺さぶられた。
「あーーーーーーっ!」
私はのけ反り髪を振り乱し、シーツを握りしめて、下腹部をジンジンと襲ってくる快感に必死に耐えた。
「はあ、はあ、はあ…。」
私はコウガの紅の瞳を見つめた。彼は見つめ返してきた。
「いいのか。」
コクン、と私は頷いた。
彼のそれは天を刺す勢いでそそり立っていた。私はそれを甘美な恐怖をもって見つめ、横から少しだけ噛んだ。表面は温かく柔らかいのに、中には硬い硬い芯があるのを感じた。
「さあ、ここに。」
「ああ。」
コウガは鋼のような体を私に重ねてきた。少し重い。しかし彼はすぐにそれに気づき、自分の手で体重を支えてくれた。その左腕にはあのときの傷跡がまだはっきりと残っていた。私はそれを指先でそっと撫でた。
「いくぞ。」
「うん、来て、コウガ。」
彼が私を探り当てた。
「んんっ。」
ちょっとだけ怖かった。
「任せろ。力を抜け。」
「うん…。」
彼が…入ってくる。
「つぅ…。」
一瞬、少しだけ痛かった。
決して力ずくでも乱暴でもないのに、入ってきた彼の存在感は凄まじかった。
「んん、んあぁ…。」
焼け付くように熱い。灼熱と化した彼は私の中を優しく優しく擦りながら、奥へ奥へと埋まってきた。
「ふんっ!」
「あっ!ああ…。」
いきなり一番奥を力強く突かれ、私は身を震わせた。
「…コウガ。あなたは優しくて熱くて大きくて…強いのね。」
「…エリス。オレは今、おまえに包み込まれているんだな。溶け落ちてしまいそうなほどの悦びを、この身の全てに感じる。」
「なら、もっともっと感じて、私の中で。」
「ああ、もっともっと包んでくれ、オレを。」
私は彼に愛され続け、何度も何度もその時を迎えた。でも、彼はまだ許してくれない。
ふふ、可愛い人。私の片桐先輩。私の片桐鋼牙。私の王様。