第1話『体力トレーニング』-3
「申し訳ありませんっ、こ、このくらいでいかがでしょうかっ」
グニィィィ……弾性に富んだゴム模様な陰唇がカンカンに伸び、皺1つ見えなくなった。
「おっけー。 ほれ」
ニュポン。
「ふぅん……んっ!」
ミリミチミチ……。 太いエボナイト棒を抵抗なく頬張る膣。 ちゃんと膣液は分泌できているようで、感心感心。 ちょうど中頃まで膣に挿入したところで、パシッ、尻たぶを平手ではたく。
「あうっ」
「いつまで広げてんの。 もう十分咥えてるでしょ」
「えっ? で、でもですね、まだ全部入ってないです。 このままじゃ落っこちちゃうかも――あくっ」
パシン。 呆れた体で2度目の尻ビンタ。
「ちゃんと話きいてないでしょ、全く。 落とさないよう膣を締めるのもトレーニングの一環なの。 いいからそのまま走って御覧」
「は、はいぃ」
膣からエボナイト棒を覗かせて、恐る恐る上半身を起こす29番。 絵にかいたようなへっぴり腰だ。
完全に膣で呑み込んでしまえる長さのエボナイト棒か、もしくは挿入しきれないくらい太いエボナイト棒であれば、膣で咥えたまま走ることはたいして難しくない。 一方、半端に挿入した状態を維持した上での全力疾走となると、これは中々難しい。
「ひぇぇ……ふわぁ……」
間の抜けた溜息をもらし、29番はおっかなびっくり股間から棒をぶら下げたままでヒョコヒョコ歩く。 眺めるクラスメイトはどんな様子だろう?
「……へえ」
てっきり無様な姿に苦笑しているかと思ったら、そんなことなかった。 バカにするんじゃなく、かといって憐れみながら視線を逸らすでもなく、では1組みたいに淡々と無表情で眺めるかというとそうでもない。 29番を心配するように、固唾を飲んで注視している、という表現がしっくりくる。
「表彰台まで1往復、準備ができたらいつでも走って構わないよ。 ただし手加減なしの全力疾走」
「は、はぁい〜」
情けなそうな返事とは裏腹に、29番の動きは少しずつシャンとなってきた。 その場でジャンプしたり、ドンドンと地面を踏んで足の動きを確認したり。そう簡単にはエボナイト棒が膣から落ちないことを確認してから、
「29番、いきまぁす!」
ダダッ、スタンディング・スタートをきった。 さすがクラス1の俊足だけあってフォームがいい。 膣に真っ直ぐ棒が刺さっているせいか背筋もピンと伸びている。 シュルシュルとエボナイト棒に繋げたリボンが伸び、パッ、29番に合わせてウミヘビみたいに宙をくねった。 いい調子で走っている――とはいえそうそう簡単に完走る器具ではない。 ゴール手前で、ポロリ、エボナイト棒ごと膣から零れたリボン。 29番は慌てて駆け戻り、自分の手で膣に挿入しようと股を広げるも、実は半分だけ棒を挿入するのは屈んだ体勢では難しい。 案の定梃子摺(てこず)る29番は、焦りからか益々手元が怪しくなる。 結局表彰台から戻ってきた時、29番の膣はエボナイト棒を奥まで呑み込んでいた。 膣からタンポンみたいにだらしなくリボンが伸びるという、いかにも無様な
股座を抑え、しょんぼり俯く29番。
「どう? 感想を聞かせて貰いましょうか」
「うう……ぜ、全然ダメでした。 あの、チツマンコを締めながら走るって難しいんです。 早く走ろうとしたら弛んで落としちゃうし、ちゃんと締めようとおもったら上手に走れないし、チツマンコと足がバラバラになっちゃって……申し訳ありませんでした」
「謝ることなんてないよ。 誰も、最初からバッチリできるなんて思ってないし、だからこそ自主トレになるわけだし。 私から言えるのは、こういう力の配分ができるっていうのが、学園的に優秀だってこと。 リレーなんてバトンは膣で渡すんだから、走ってる最中はずっとバトンを挿入しっぱなしなんだからね」
29番をはじめ、みんな神妙に聞いている。
「とにかく、自主練で足腰は鍛えとくこと。 ちなみにこの器具だけど、1つしかないんだよね。 特定のクラスだけ贔屓するつもりはないから、もしもこの器具を使って練習したいなら、自分たちで作ればいい。 リボンは、そうねぇ、先輩に分けて貰えば解決。 棒は、こんなの木の枝で十分。 樫か楡(にれ)の太めの枝を折って、皮を剥いだらツルツルして具合がいい棒ができるから。 あくまで参考だけど、器具があった方が自主トレに箔がつくと思うな。 みんな分かった?」
「「はいっ!!」」
うん、まぁまぁ揃ったいい返事だ。 もっとも実際に自主練するのは、クラスの10人に満たないと思う。 学園の休み時間は短いし、次の時間の用意もあるし、何より座学でオマンコは酷使される。 休み時間までオマンコ特訓しようなんて気力がある生徒なんて、1クラスにそう何人もいるわけない。 個人的には2、3人でも自主練に生かしてくれれば御の字だ。
さて。 脚の次は腕。 器具なしで自主トレするいい方法を知っている。 私が学園生徒だった頃に無理矢理仕込まれた練習メニュー。 あの頃はまさか教える側に回るなんて思ってなかった。 人生何が役に立つかなんて、時間が経って初めてわかるんだろうな。