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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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高三の春-6

日もすっかり沈み辺りは暗くなり、冷え込みも増してきて。

「さっき君は「ずっと一緒だよ」って言ったけど、まさか夜も一緒だ何てね。」
「ほんとだねー。」

どうやら彼のお母さんのパートが長引く為夕飯代を置いて行ったようで。私の母も青果店の仕事の関係で夜は居なく、自炊しても良かったけどふとした事から彼が夜は外食に行くと知り、話し合って二人でディナーデートをする事に。

「君のお母さんも大変何だね。」
「うーん、まぁ色々と覚える事も多いようだけど、どうにかやれているみたい。」
「なんで?」
「実はね、とっても親切な人が居るの。」
「おばさんの慣れない仕事を全面的にサポートしてくれるって感じで?」
「そう!経営戦略から農業について隅から隅まで。」
「わぁーそこまで…。」
「自分だって色々と大変な筈なのに、時には住み込みまでして。」
「……。」
「お母さんが自信をなくして店畳もうか追い込まれている時も駆けつけて必死に励まして勇気を貰ったそうで、そういう精神面までもサポートしてくれて。」
「…それってなんだかとっても。」
「分かる!?…まぁ詳しいことは本人が話してくれないから分からないけど、ひょっとしたら…って。」

でもまぁ、慣れない素人が子持ちで一から経営に農業の知識を得ようとするんだからこのくらいの親切は当然…なのかな。

「寒くない?」

春とは言えやはりまだ冬の名残は残る。

「そうだねー、なら…こうしちゃおっと❤」
「っ!!」

そう言うと私はピタッと彼の片腕に両手でしがみつき。

「…えへへ、僕らすっごい幸せだねー♪」
「寒い夜道に一人で歩くなんて寂しいしもの。」

暗く寒い夜道に一気に明るく暖かく大きな焚火が出来たような気分だ。

「あっ、着いた着いた!」

暗闇にぽうっと灯されるいつものラーメン店の提灯。

「ここかぁー。」
「うん、馴染みの店。」

まぁここかなぁーとは思ったけど、まっ良いか彼と一緒なら何処でも。

外も冷えるし颯爽に扉に手をかけ中へ入店する。

「ふぅー、暖かいー。」
「だねー、どこ座る?……ってあら?」
「どうしたの?」

席を確保しようと店内を見渡すとそこに意外な人物が先客として居座っていた。



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