盗聴オナニスト・原田-1
ハロウィンの夜、子供たちは仮装して家々をまわって、こう尋ねる。
トリック・オア・トリート?(いたずらか、ごちそうか?)
そして、家の人からお菓子をもらう。
だが、東京のハロウィンは違っていた。
カボチャをくり抜いたジャック・ランタンのマスクをつけた怪人がこう叫ぶのだ。
トリック・オア・パンティ?
※
その日、原田信吾は会社の女子トイレに仕掛けた盗聴器で録音した、女性社員たちのあられもない音を楽しんでいた。
シャーーーッ! シュワーーーッ! ジョボ、ジョボ、ジョボ。
カラカラカラ、ゴシゴシ。
おしっこをしてトイレットペーパーで拭くまでの音だ。
時には、ブリブリブリ、という恥ずかしい音も聞こえる。
原田は自分のアパートで、これらの音を聞きながらオナニーする。
トイレで排泄行為をしているのが誰かはわからないが、音だけの世界は逆に想像力をかき立てるもので、その興奮と言ったらハンパでない。
かすかに聞こえるパンティを上げ下げする音なんかも、そそられる。
すると録音音声から、トイレのドアが開き、ふたりの女性社員が入ってくる音が聞こえてきた。
「あ〜、疲れた。今日はこのまま帰りたい」
「それより来週、弁護士との合コンがあるんだけど参加しない?」
「行く、行く! 絶対に行く!」
「でも、さなえはすぐお持ち帰りされちゃうからな〜。もっと駆け引きっていうか、オトコを焦らすテクニックを勉強した方がいいわよ」
「うん。あたしも反省してるんだけど、もし他の子に取られちゃったら、と思うとあせっちゃって。この点、彩花は抜け目がないよね」
同じ部署の高本彩花と西野さなえだった。
こんなに盗聴の対象者がはっきりわかるのはめずらしい。
そして、さなえはともかく、彩花は美人系でスタイルが良く、社内で一番人気の女性社員だ。
高本彩花のご来場とは……! これはラッキーだぞ!
ふたりはトイレの個室に入り、スカートをめくり上げ、パンティを下ろした。
続いてみずみずしい放尿の音が聞こえてきた。
ああっ、これが高本彩花と西野さなえのおしっこの音……!!
どちらが彩花の音だろう?
ふたりとも結構、豪快だな。
全然、慎ましさがないのは合コンに行きまくっているヤリマンだからかな?