つがい-1
「お、女の人が一族の人だったら?人間の花婿を見つけるの?」
「俺たち一族の花嫁はたった一人の男の赤子しか身ごもらない」
男の子しか生まない・・・の?
「男だけの一族だ」
男だけの一族。
選ばれるただ一人の花嫁。
「俺たちは最後の日に、この世にはその屍さえ残さない。
ただ1つ。自分の生きた証は花嫁の身に宿る子供だけ」
「・・・」
そこでハッとして悟を見つめた。
「ね・・・ぇ?」
「ん?」
「悟は何歳、なの?」
「忘れた」
「え?」
「正確な年齢はとうの昔に数えるのをやめた。
俺は・・・花嫁を迎える気はなかった」
気は、なかった?
「俺たちの一族はたった一人の花嫁を永遠に愛し続ける。
一千年という、長い長い年月をかけて」
「・・・」
「一千年の初めのほうで出会えば、1人になった残りの数百年をかけて愛し続け
一千年の終わりのほうで出会えば、出会うまで数百年恋焦がれる」
「一千年・・・」
「どちらにしてもその花嫁に一千年の全てをささげる」
私はその長い年月を思って軽く震えた。