とわの-5
「分かった。そうする。
私、ほかの人を好きになって、ほかの人とキスをして
ほかの人とエッチをして、ほかの人と結婚する」
「ああ・・・」
「ちゃんと明日にはほかの人を好きになるように努力する。
悟のことは思い出さない。
同じ会社だけど。すれ違っても普通の同僚以外の感情は抱かない」
「ああ・・・」
「だから・・・だから理由を教えて。ね?悟。ちゃんと理由を話して?」
「・・・・」
懇願する私は、悟を押し倒して馬乗りになった。
「理由を教えてくれたら、おとなしく別れるわ!」
「教えたくないって言ったら?」
「それは誠意がなさすぎるんじゃない?」
涙がぴたりと止まった。
泣いたって状況は変わらない。
泣いたって付き合い続けてくれるわけじゃない。
「私の3年を返しなさいよ」
「・・・・」
「理由を言って!」
「納得するとは思えないけど」
「それでも言うのが誠意ってもんよ」
悟は小さくため息をついた。