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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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霧と砂嵐-2

砂嵐は消えてゆくが
嫌な胸騒ぎがする。

背中に汗をかいていたのが分かる。

ゆっくりと上半身を起こす。
「はぁっ 」とため息をついてから
隣のベッドを見ると
タクミがいない。

「 、? 、 、」


   いない 

     トイレ かな、、、



勉強机の上の
目覚まし時計を見ると2時だ。

布団から起き上がり
ちづるは部屋から出て
隣のキッチンへ向かう。


「 、 、、 ? 」


隣の部屋は暗かった。

キッチンの流し台の上の
小さな蛍光灯だけついている。

隣の部屋のテレビがついていて、
テレビの前の茶色のソファーに
タクミは体育座りをしていた。

背中を丸めて
ぼーっとテレビを眺めて動かない。

一瞬だけ脳裏に、
夢に出てきた男の子がチラついた。

ちづるの足音に気がついていないのか
こちらを見ない。

ちづるが声をかける。




「、 、 タクミ君? 」



「、 ん?  ぁれ、、? 
   どうしたの?   」


「 ん?  うん、、、。
 タクミ君が、いなかったから 」



「んーー? うん、、、。」



「 電気、、つけないの?

  ぁ 。 テレビ、観てたの?」


「 、、、うん。」


「、、、隣で観ればいいのに 」


「んーー? 
 でもちづちゃん、
  ぐっすりだったから〜 」




ちづるは話しながら
タクミの隣に座った。

テレビでは韓流の
恋愛ドラマがやっている。
画面では女性の顔がアップになり、
涙ながらに何かを訴えている。

字幕を少しだけ追いかけながら、
ちづるが言う。

「、 、、なんか、珍しい 」


「 、、ん? 何が?」


「こういうの、観るっけ?」


「 ぁーーー、、、。
 観てたってゆーかぁ〜〜 」


「 ? 」


「、、なんか眠りが浅かったから。
 目ぇ開けて、寝てたかもーー。」


「 ぇー? ふふっ  」


タクミは寂しそうにフッと笑う。

ちづるが心配そうに言う。


「、、、寝れないの?」


「 んーー、、、 少し 」


「 、 、 、 、、。 」



「 ぁーー、、でも。
 心配しないで? 
 今も、、、
 ウトウトしてたし〜〜。
   目は開いてたけど。  」


「、 、 、 、、。 」


「ちづちゃんは、、
   寝たほうがいいよ?  」


「 、 、 、、、、 、」



「 ?  どした? 」



「、 、 、、 、。」



    タクミ君は

  やっぱり  優しい


     きっと  今、



    何かを 無理してる


    、 、 、、でも

        何を? 


         あと少しで

   気がついて 
     あげられそうなのに 




「ちづちゃん? 」


「、 、〜っ  ぁの、、、」


   何か  


     なんだろう  

     違う 



  私は

    分かってる はず




その時。

テレビから鐘の音が聞こえた。

2人は同時にテレビを観る。

テレビの中ではストーリーが
いつの間にか進んでいた。
ウエディングドレスを着た女性と
真っ白なタキシードを着た男性が
肩を並べて幸せそうに
教会のバージンロードを歩いている。

ちづるが呟く。


「 、 、 、、結婚 、 」



  『俺とー、、
      結婚して。 』 



  始めて言われたのは

  確か、タクミ君と
   2回目のエッチをした後

  
  、 、、、、 

        その後は?


  何回、言われた? 


    何回が冗談で
  
  何回 本気だった? 



   分からない



「〜っ  、、 っ   」



       違う 





    分かる 




「 〜っ 、、 っ  

   ぅ    〜っ、、、 」



   ちゃんと 本気の時
   
     あった事 


 
     私は もう
   


    分かってる 

       



「〜っ  っ、、、 っ 」


「 ちづちゃん? 
   どしたー? 急に感動? 」


「 っ、、 〜っ   」


「 っつーか、、。
 ドラマの内容、分かってた?
  って、俺も 
 あんま観てなかったけど、、、。」



タクミは
うつむいているちづるに近づくと
背中をさすり、顔を覗きこむ。

背中からタクミの手のひらの
温かさを感じながら
ちづるがうつむいたまま言う。



「 〜っ 、、 結婚 」



「 ん? 」



「 〜っ 結婚 、する、、
       あたし   」



「 、 ! 」



「〜っ  、 、、 っ 」



「、 、 、 、 、 。 」





タクミの手の動きが
ピタリと止まった。


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