第二話:ママの元婚約者が現れた-5
「ではこうしよう・・・僕と勝負して、僕が勝ったら、君は魔界で僕のお嫁さんになるんだ!」
「じゃあ、私が勝ったらどうするのよ?」
「僕が負けたら・・・君は人間界で僕のお嫁さんになるんだ!!」
ニックさんの無茶な勝負の要求を聞いたママは、呆れたように深い溜息を付き、
「ハァァァァ・・・・・バカなの!?こんな勝負受けても、私に何のメリットも無いじゃないのよ?」
「フフフ、君はこの勝負を受け入れるしかないんだよ?これを見た前!」
ニックさんは、内ポケットから一枚の黒い紙を取り出し、ママにヒラヒラ見せました。ママはそれを見ると、見る見る顔が青ざめていったの・・・
「そ、それは・・・お母様のサイン!?」
「そう、君の母上、サキュバスの女王様の許可もちゃんと得てあるんだよ?これに逆らえばどうなるか、サキュバスである君には分るよねぇ?」
「ウッ・・・ひ、卑怯よ!お母様を利用する何てぇ」
ママがこんなに動揺するのを、私は初めて見た気がします。私のお婆ちゃんって、そんなに怖い人なのかなぁ?私、人を嫌いになるって事はほとんど無いけど、何かこのおじさんの事は、全く好きになれそうもありませんでした。とりあえず、家の前でこれ以上騒ぎを大きくしたくないママは、ニックさんを家のリビングに通しました。私は、ママに援護射撃するように、
「ちょっと早漏おじさん、あんまり虫の良い事ばかり言わないで!」
「そ、早漏は止めろぉぉ!僕は、長い修行の末、早漏から卒業したのさ!!」
早漏おじさんは、自信満々に踏ん反り返りましたが、右手をタキシードのポケットに入れて居るのが、妙に私には引っ掛かりました。ママはその事には気づいておらず、早漏を克服したと豪語する早漏おじさんに困惑したようで、
「嘘!?」
「本当だとも!」
「じゃあ、試して上げるわ!」
ママはそう言うと、サキュバス姿に変化しました。早漏おじさんは、思わず生唾をゴクリと飲み込むも、タキシードのポケットをギュッと掴むと、
「ほ、ほら見た前、もう君を見ても何とも・・・」
早漏おじさんはそんな事を言いましたが、私はさっきから、早漏おじさんのタキシードが、妙に膨らんで居るのが気になりました。早漏おじさんは、タキシードのポケットに手を入れて居るのには、何か理由がある筈だと考えた私は、勢いよくソファから立ち上がると、
「ねぇ、そのポケットの中に入っているの、何?」
「ワァァ!?や、止めろぉ!これは高かったんだぞぉぉ!!」
私は、早漏おじさんのタキシードのポケットを弄ると、抵抗する早漏おじさんの手から、ポトリと何かが落ちました。それは水晶玉のようで、ママは水晶玉を拾い上げると、ジト目で早漏おじさんを睨み付けました。
「これ、進化の宝玉じゃないの?」
「エッ!?さ、さて、何の事やら僕にはさっぱり?」
「ママ、進化の宝玉って何?」
「進化の宝玉って言うのはね・・・」
ママの説明によれば、進化の宝玉とは、手にした者を覚醒させるアイテムだって教えてくれました。それを巡って争いが絶えず、各種族の王が規制し、それ故、魔界においても危険物として、現状数個しか残って無いだろうと言われる程の品だそうです。
「マ、マヤ、返してくれぇぇ・・・ウッ・・・ウゥゥゥ」
早漏おじさんは、立ち上がってママが手にした進化の宝玉を取り返そうすると、ママは、無防備になった早漏おじさんの股間を、右足で擦り始めました。見る見る早漏おじさんが気色悪い声と顔をして悶えると、ママは、少しサドスティクな表情をしながら、
「アララ!?その股間の染みは何かしらねぇ?」
「こ、これは!?」
「進化の宝玉を使って、私を欺こうとしてただ何て・・・最低よ!」
ママは、右足を一層早く擦り出すと、早漏おじさんは、キモイ表情しながら悦に浸り、
「ウッ、マヤ、止め・・・イクゥゥゥゥ」
早漏おじさんは、その場でビクビク痙攣すると、早漏おじさんの履いていたズボンの股間周辺に、お漏らししたような大きな染みが出来ました。ママは目を吊り上げると、
「この早漏男!さっさと帰って!!」
「う、うるさい!こっちには、お前の母上であるサキュバスの女王の許可証があるんだぞ?逆らえば、お前の家族もどうなるか分からないんだぞ?」
「そ、それは・・・家族は関係無いでしょう?」
「だったら、お前は、僕のお嫁さんになるしか・・・」
ママが形勢不利になったその時でした・・・