ハロウィンの夜-4
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僕とりす子は路地の向こう側へ歩いた。
夜でも明るい、広い通りに出るから。
そして、通りに出た僕は、
「あら、みち男くん。こんばんは。」
という声に迎えられた。
え、と思った。りす子のお母さん……りす子ママが買い物袋を下げて歩いて来たんだ。
「こんばんは。」
と僕が言った。
はじめは笑顔だった りす子ママが、りす子が細い路地から僕のあとに出て来たのを見て、
(何、アナタたち。
何でこんな暗い所から二人で出て来たの?)
明らかに、そんな感じに顔を曇らせた。
「ママ〜、お疲れさま!」
りす子が、りす子ママに抱きつきそうな勢いで飛びついて来た。
「さっきまでみち男くんと『ホラーナイト』に行って来たの!」
りす子ママは僕の方を、
(じゃあ、なんでこんな所に出て来たの?方向が違うじゃない。)と言う視線で見ている。りす子はそんなりす子ママの視線をさえぎるように、
「今年はね、オマケに星座早見盤がついて来たの。見て見て、裏側は南の国で見られる星座が描かれてるスグレモノなのよ!」
と話し続ける。りす子ママは、
「そう、いいのをいただいたわね。」と言うけど、僕の方を見る目が厳しい。
(あ、これは りす子が僕に逃げるチャンスを作ってくれてるんだ。)
りす子がりす子ママと歩きはじめたのを見はからって、僕が踵を返して向こうに行こうとした時、
「みち男く〜ん。」
りす子が僕を呼び止めた。
「悪いけど、お家までママの荷物持ってあげてよ。」
(な、何考えてるんだよ りす子……)
コオロギの鳴く夜の道を、仲良くおしゃべりしながら歩いていく りす子母娘。
りす子ママは後ろ姿からも、
(みち男くん あとでゆっくりお家でお話をうかがうからね。)
という気迫が伝わってくる。
さっきのホラーナイトは、いくら怖くてもしょせん作り物だよ。
通り抜けてしまえば終わってしまうよ。
このホラーナイトは、どう通り抜ければいいのかわからない。
(りす子は、僕を守ってくれるのかなぁ〜)
【おしまい】