愛しき人-11
コンコン…
「失礼します…」
ドアを開けると、何人かの笑い声が聞こえる。
「ぇ…?」
座敷では川島の他に、佐々木と田島の三人がワインを飲んでいた。
「お、お疲れさまでぇす」
これから川島に抱いて貰える…
その裏切られた想いから、香織は寂し気な笑みを浮かべて言った。
「おぉ、奥さん、お待ちしてましたよ。ささ、ここに座って…」
田島が言いながら、佐々木と田島の間に香織を座らせた。
「いやぁご苦労さん。奥さん、今日は大変だったねえ…ゆっくり飲んで休んで疲れを取るんだよ」
佐々木がワイン注ぎながら香織を労った。
「あ、ありがとうございます」
初めは戸惑っていた香織だったが、ワインが進むにつれ、疲れも手伝って次第に酔っていった。