愛しき人-10
21時…
香織は宴会でも献身的に動いた。
参加者たちに御酌して廻ると、旦那衆は鼻の下を伸ばしながら呑んだ。
賑やかな宴会が終わり、参加者たちはカラオケに行く者、露天風呂に行く者など、三々五々満足げに宴会場を後にした。
「ふぅ…やっと終わったわ……そうだ、急がなくっちゃ…」
香織は宴会の後、川島の部屋に来るように言われていたのである。
香織は部屋に戻り、急いでシャワーを浴び浴衣に着替えると、化粧を整えて部屋を出た。
川島の部屋は別棟にある。
プライベートでもよく利用する川島に、ホテル側が配慮して露天風呂付きの特別室を用意したのだ。
川島の部屋に近づくにつれ、香織の躰が火照りだした。