第十章 覚醒・もう一人の私-3
アーちゃんは座椅子を二つ持ってきて、テレビの前に並べ、二人で座った。彼女がスマホを少し操作するとテレビの電源が入り、メニューのようなものが表示された。
「見て欲しいのは動画なの。じゃ、再生するね。」
「う、うん。」
動画はすぐにスタートした。今俺たちが見ているテレビに向かって座椅子に座っているアーちゃんを斜め前から写している。画面の右上には小さな囲みがあり、アーちゃんが見ている映像を表示しているようだ。
俺たち二人の公園でのシーンの間、アーちゃんは膝を抱えて少しこわばった表情で画面を凝視していたが、ナツミと俺との場面になると、表情に変化が現れ始めた。緊張が解け、少し笑ったような顔になり、目がうつろになっていく。やがて膝に乗っていた右手をゆっくりと滑らせて、スカートの中に入れていった。その動きによってスカートはどんどんめくれていく。手は足の付け根に向かって進み続け、下着に触れる頃には彼女は両足を大きく開いていた。そこでアーちゃんは動画を一時停止した。
「さっき聞いたのはこれのことなんだね。」
「そう。そして、これはまだほんな始まりなの。」
動画が再開された。
大きく開かれた両足の正面へとカメラの視点が回り込み、床ギリギリまで下がった。淡いグリーンの、シンプルだが可愛らしい下着のフチに彼女の手が届いているのがはっきりが分かる。何かにあらがうようにしばらく揺れていた彼女の手がやがて下着の中央部に触れた。そうすると、もう耐えられないとばかりに指が這い回り、アーちゃんの目は細められ、口が半開きになって涎を垂らし始めた。でも、画面だけはしっかりと見続けている。淡いグリーンの薄い布は、アーちゃんが撫でている所を中心にかなりの部分でジットリ湿ってきた。そのせいで、布の下にある谷間のような形や、小さな突起が微かに透けて見えている。
「撮影されてること、分かってたんだよね?」
「そうよ。見られているだけじゃなく、撮影されてしまっている。誰がそれを見るか分からないのに。それがさらに私の手の動きを激しくさせたの。」
やがて白い太股と下着の隙間に指が差し込まれ、中でモゾモゾと蠢き始めた。指の動きに合わせて布が浮き沈みし、太ももとは対照的に少し浅黒い肌と、そこから生えている黒い茂みが見え隠れしている。特別に敏感な部分に指が触れた時だろうか、時折ピク、っと腰が跳ねる。
「直接弄っているところまで撮影されたんだ。」
「うん…。」
左手が、右手の指を差し入れてあるあたりの布を掴んだ。さあ、この中が見たいんでしょ?っとアーちゃんの目が語っている。布はゆっくりと横にめくられていき、茂みの見える面積がどんどん広くなっていく。そして、ついに唇のようなものが全貌を現した。その間にある谷間は、ネットリと湿り、鈍く光を反射している。
「見せちゃったんだ…何も隠すもののないそこを。」
「そうなの。見せてしまったの。あなたにさえ恥ずかしくて見せられなかった所を。」
動画はさらに続いていく。
アーちゃんの息づかいが急激に荒くなっていった。それに呼応するように指の動きが激しさを増していった。晒け出してしまった自分自身に興奮してしまったのだろうか。腰をくねらせ、足をビクンビクンさせながら悦びのうめき声を上げ続けていたが、ついに耐えきれないという表情で下着をずり下ろし、あっさり脱ぎ捨てた。もう、左手で捲っている必要はなくなった。フリーになった左手の中指で谷間をなぞり、小さな突起を右手の指先でグニグニとこね回した。悦びの声が一段と高くなっていく。
「すごい…。」
「ねえ、見て。しっかり見て!私、自分のこんな所にこんな事をしてしまったのよ。普段の私なら絶対にありえない。恥ずかしくてこんなこと出来るはずがない。でもね、このときの私はもう一人の私なの。恥ずかしい部分を見られたくてガマン出来ない。そしてそこを弄くり回して快感を貪っている自分の姿を晒したい。カメラがその望みを叶えてくれていた。だから私は見せつけた。その状況が、さらにカラダをジンジン感じさせ、もう止められなかった。止めるつもりも全くなかった。その時私は、快楽に身を任せて乱れ狂う自分の情欲の全てを何の躊躇いもなく解放した、もう一人の私でしかなかったの。」
アーちゃんの自分への攻撃は徐々に荒っぽいものになっていく。左の唇を引きちぎるような勢いでつねりあげ、右手の中指で往復ビンタのように敏感な突起を痛めつけている。やがて悦びの声は野獣の咆哮へと登り詰めていき、ぐぅ、っとうめいて反り返りながら、ブシュー、っと大量の液体を怒濤のように噴出させた。それは一瞬のうちにカメラをビショビショに濡らし、映像が歪んで見えにくくなった。
しばらくのけ反ったままピクピクしていたアーちゃんは、ガク、っと頭を前に垂れた。肩で激しい息をしている。そして、ハ、っと驚いたように顔を上げると、両足を強く閉じ、スカート被せて横を向いた。その顔は、さっきまでのように恍惚に溺れたものではなく、恐怖とも悲しみともつかないものになっていた。少し俯いて、涙さえ流している。動画はそこで終わっていた。