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スイッチ、オン 〜 The actress on through the lens
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第十章 覚醒・もう一人の私-2

 「泣いてるじゃないか、コノヤロー。」
 「おおっとぉ、僕に手を出さないほうがいいですよぉ。データはクラウドに保存してるからぁ、このタブレット取り上げても意味ないしぃ。」
 「…アーちゃん、行こう。この件については今はどうしようもないようだ。今後のことを考えよ。」
 「あ、うん…。」
 「というわけだ、シンジくん。じゃあな。」
 「ごきげんよぉ、お二人さん。」
 俺たちは足早に立ち去った。
 「まいったね。」
 俺はわざとおどけて言ってみたが、アーちゃんは顔を上げない。
 ここは二人でよく来るカフェ。珈琲をニ杯注文すれば、後は飲み放題。席も個室っぽく囲まれてて…いろいろ出来るのも気に入っている。いろいろ、ね。
 「ね、今後の対策を考えたいから、辛いとは思うけど何があったのか話してくれないかな。」
 アーちゃんは無言でコクン、っと頷き、そろそろと話し始めた。
 「シンジくんはね、演劇部の一年後輩なの。その頃からずっと私が主演の自主制作映画を撮りたいって言われてたんだけど…ずっと断ってたの。」
 悪い話じゃないんじゃないかと思ったが、口を挟まずに先を促した。
 「ヌードなのよ。」
 う、なるほど、それは断るよな。
 「でね、つい先日部活の同窓会に行くって話したでしょ?その時見せられたの。私たちが公園でお互いの成長を確かめ合っているところを写した動画を。」
 「…くそっ、そんなものまで。ショックだった、よね。」
 「うん。私たち二人だけの大切な思い出だから。それにあの子、ネットにも詳しいって知ってたから、すぐに最悪の事態を考えたわ。」
 「そんなことをされたら、恥ずかしくてたまらないよね。」
 「私はいいの。恥ずかしいぐらい我慢する。でも、あなたが傷つくのは耐えられなかった。」
 「アーちゃん…。」
 「そう言ったらね、シンジくん、他にもいっぱいありますよぉ、あの人のやつぅ、って。見たかったらぁ今からウチヘ来ませんかぁ。」
 「それでこんな事に。俺のために、あいつに無理矢理…」
 「うーん…そこはちょっと違うの。」
 「?」
 「確かに初めてをあげちゃったんだけどね。」
 「まさか、自分から?」
 「そうじゃなくて。あの子、私の手料理が食べたいってずっとねだってたのよ。でも私、料理なんかしたことなくて。料理の動画見せられて、結局食べさせてあげちゃった。ルリアさんのぉ、初めてをぉ、頂きましたぁって、大喜びしてたわ。」
 「なんだ、料理の話だったのか。」
 「…うん、そこまでは、ね。」
 俺の下腹に重いものが広がった。
 「食べさせたんだから、早く録画見せなさいよ、って言って。」
 「うん。そうだよね、そのために行ったんだから。」
 「で、大きなテレビの前に座ってさっきのを見せられたの。正直、悲しかったわ。だって私以外のオンナの人と。でも、それは最初のうちだけだった。」
 「最初の…?」
 「見せられているうちにね、なんだか下腹部がムズムズしてきたの。」
 「え、それって…そういうことだよね?料理に何か入れられた?」
 「ううん、私、食べてないから。」
 「じゃあ、どうして…。」
 「はっきりしたことは分からないんだけど、あなたが他のオンナの人とああいうことをしているのを見ていたら、だんだんそれが自分とあなたがしている事のような気になってきて。」
 「前に言ってた女優スイッチ、関係あるのかな。」
 「あると思う。演じる対象に感情移入、いえ、そのものになってしまう。」
 「それはすごい能力だね。」
 「ええ、自分でもその才能があると思う。でも…。」
 「ん?」
 「録画を見ているうちに、まるで自分自身の行為であると感じ始めた私は、気がついたらスカートの中に手を入れていたの。自分の意志で。そうするのが当然で自然な事だと思った。」
 「な…あいつ一緒に居たんだろ?」
 「そう。でも、その時彼は観客に過ぎなかった。後輩でも、脅してきた卑劣なやつでもなく。そしてね、観客の前で演じるのって、言いようもない快感なの。」
 「じゃあ、あいつは自分からは何もしてこなかったのか?」
 「うん、最後まで観客に徹していた。私の手がスカートの中で太ももを撫でながら這い上がり、下着に触れ、足を大きく開いた時も。」
 「そんなことを…。」
 アーちゃんは俯いてしばらく考え込んでいたが、決意したように顔を上げた。
 「見てもらいたいものがあるの。今から一緒に来てくれる?」
 「分かった、行こう。」
 俺たちは店を出て、無言で歩き始めた。
 「すぐ近くよ。」
 やがてちょっと古ぼけた小規模のマンションの前にたどり着いた。アーちゃんは馴れた様子でエントランスをくぐり、エレベーターを3Fで降りた。少し入り組んだ通路を迷わずに進んで一つのドアの前に立ち、バッグから鍵を取り出してドアを開けた。
 「入って。」
 部屋の中は薄暗かった。天井と壁に向けられた間接照明と、いくつかのスポットライトだけが柔らかい光を投げかけている。大型のテレビ、セミダブルぐらいのベッド、後はイスやテーブル類。
 「なんなの、ここ。」
 「私の…舞台。」
 「え?。」


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