♠刺激的な女♠-9
そして、そんな彼に割って入って来たのが、美女だった。
「そして、あたしが衣装とメイク担当。ただ細いだけの身体は好きじゃないのよね。せっかく女に生まれているんだから、女らしい身体付きをした娘を天慈に希望してたの」
「それで、いい身体してるって話になった、ってことスか……」
「そ。実際採寸して見たけど、確かにいい身体してたわ。全体的に細いけど、胸は結構あったし、お尻も小さくてキュッと上がってて。そういやあんたもしっかり見たんでしょう?」
途端にボッと顔が瞬間湯沸かし器みたいに熱くなる。
そうだった、俺は松本の下着姿を……!
慌てて鼻の下を触れば所々カピカピになってて、鼻血が出た痕跡が残っていた。
多分、俺は松本が投げたドライヤーで鼻血が出たんじゃなくて、松本の下着姿を見て鼻血を出してしまったのかもしれない。
「というわけで、あんたが心配するようなことは、全くないってわけ。安心したでしょ」
「……はい」
一人で勘違いして殴り込み掛けて、馬鹿みてぇじゃねぇか、俺。
もう、穴があったら入りたい程の恥ずかしさで、とうとう頭を抱え込んでその場に蹲った。
「まあ、あの採寸の騒ぎ聞いてたら、勘違いするのも無理はないかもね」
「すいません……」
「それに、あの娘の気持ちもわからなくもないわ。初対面の男に脱げって言われたら、いくら採寸だとしてもイヤって言っちゃうだろうし。最終的にはブツクサ文句言いながらも採寸されてたけど」
「ホント、すいませ……って、ちょっと待て!!」
バッと顔を上げれば、不思議そうな顔した御三方。
イケメン。美少年。そして絶世の美女。
今、この女とんでもないことをサラリと言わなかったか!?
あまりの衝撃に声がうまく出さないでいると、何かを察知した吾郎さんが、美女の肩を組んでニカッと笑った。
「ああ、もしかしてアナタ、ヒロのこと女だと思ってた?」
「え、あ、う……」
「そっか、言い忘れてたみたいね。この子、アタシの弟なの」
「はぇ!?」
そして、美女は腕を組んだ状態で不敵に笑うと、
「あたし、天童弘人っての。コンテストの衣装、メイク担当。よろしくね」
と、イタズラっぽくウィンクした。