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bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

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♠刺激的な女♠-8

でも、疑問はまだ残る。


ゆっくり目線を胸元に下ろせば、吾郎さんと呼ばれた男が嬉しそうに俺の胸板に頬ずりしている。


俺が見た、ネットでの書き込みは見間違いだったのだろうかーー?


「……アナタ、ネットでメチャクチャ悪口書かれてますよね?」


「えー、そうなの?」


「超遊び人とか、気に入った女の子をカットモデルにしておびき寄せて、遊んだらポイとか……」


「ああ、それ?」


吾郎さんは、フッと鼻で笑うとようやく俺から離れ、クククッと笑い出した。


「そんなのアタシに振られた腹いせに書き込んでいるだけよ。なまじ綺麗な女がモーションかけてくるんだけど、アタシが全く相手にしないから、プライドが傷付けられたんでしょうね。ホント、女の嫉妬って見苦しい」


美女の言う通り、心が女なら、言い寄る女を相手にしないのも頷ける。


つーか、勿体無ねー……。


黙っていればかなりのイケメンだし、俺がこんな顔に生まれていたら、女の子と遊びまくるだろうに。


「でも、俺昼間店で小野寺くんとあなたの会話を聞いちゃったんですよ。小野寺くんが松本のことを口説き落とせたら好きにしていいって言ったのも、“いい身体してる”って言ったのも」


そうだ、そもそもあのただならぬ会話を聞いてしまったから、俺はこうして決死の覚悟で乗り込んだわけで。


でも吾郎さんは、そんな俺の疑わしい視線なんて全く気にしないように笑っていた。


「あのね、ヘアコンテストってどんなものか知ってる?」


「髪切ったり、色変えたりするんでしょ」


「うん、それはもちろん。なんだけど、それだけじゃダメなの。ヘア、ファッション、メイク、トータルで審査されるのよ。だからあたしには、どうしてもスタイル込みでレベルの高いモデルが必要だった」


「それで、松本を……」


「あの娘を一目見て、モデルはこの娘しかいないって思った。ちょっと背は低いけど、顔は抜群に可愛いし、顔も小さいからバランスもいい。この娘がモデルになってくれたら、絶対優勝狙えると思ったの。でも、ヘアスタイルは、本人の同意なしに勝手には出来ない。だからモデルの話は天慈くんにはしてもらって、あとはアタシが口説き落とせたら、“髪型を”好きにしていいってことだったのよ」


意気揚々と語る吾郎さんは、いつの間にかアーティストの顔へと変貌を遂げていた。




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