♠刺激的な女♠-4
「天野くんサイッテー! バカッ! あっち行け!!」
「いや、ちょっと待ってくれ!!」
慌てて弁解しようとしても、松本はギャーギャーわめいて取りつく島もない。
マズい、ただでさえ大っ嫌いと言われているのに、誤解を解かなきゃますます大変なことになる!
なのに、勝手に目線が松本の胸元に行ってしまう。
弾力のありそうなその色白い柔肌があまりにも魅力的で、どうしても目が離せない。
そんな俺の視線に気付いた松本は、睨みながら胸元を隠す、が。
そうすれば余計に谷間が強調されるだろ!!
松本の二の腕で形を崩した胸がまた、色っぽいじゃねーか!
「松本、話を聞いてくれ!! 俺はお前を助けに……」
次の瞬間、顔面に硬いものが当たった衝撃。
「このスケベ!! もう大っ嫌い!!」
涙目で喚く松本が投げたものは、この店のドライヤーだってことは、この時の俺は知らなかった。
顔面に受けた衝撃でバランスを崩してしまう。
後ろに倒れ込むまでの時間が、やけにスローに感じた。
そして次の瞬間、俺はしたたかに床に後頭部を打ち付け、鼻からはドロっとした物が流れてきた。
それは鼻血だって所まではわかるけど、それが顔面にドライヤーを投げつけられたせいなのか、松本の刺激的な姿を見てしまったせいなのかはわからない。
薄れていく意識の中で、2回目の松本の「大っ嫌い!!」って言葉だけが、何度もリフレインしていた。