投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

bitter bitter sweetの最初へ bitter bitter sweet 66 bitter bitter sweet 68 bitter bitter sweetの最後へ

♠刺激的な女♠-5







「う……」


うっすら目を開ければ眩しすぎるシーリングライト。


反射的にしかめっ面になって視界がまだはっきりしない身体は、耳や鼻だけがしっかり覚醒していた。


何やらスゲーいい匂い。花のように瑞々しくて、柔らかい。


イメージ的には松本みたいな可愛い女の子の部屋の匂いだ。


鼻の穴だけをヒクヒク動かして、そのいい香りに浸っていると、


「あ、気がついた」


と、低い声が聞こえた。


いい匂いと低い男の声が結びつかなくて、身体がびっくりしてしまったのか、俺は慌てて起き上がった。


「あれ、ここは……?」


全く見覚えのない光景に、まばたきを何度もしてみるが、どうやっても目の前の光景は変わらなかった。


広く整然としたリビング。白い壁。でっかいテレビにこげ茶色のリクライニングチェアー。そして、今まで俺が寝ていたであろう、リクライニングチェアーとお揃いの3人掛けのソファー。


俺の猫の額ほどのアパートよりも遥かに広くて綺麗な部屋に、訳がわからず辺りをグルリと見渡した、その刹那。


「うわぁっ、さっきの!!」


すぐ側にあの絶世の美女の顔があったので、思わず身体が浮くほど跳ね上がってしまった。


「何よ、そんな化け物を見るような顔しちゃって」


トゲのあるような言い方だったけど、その割に少しだけ笑っているようだ。


間近で見ても、やっぱり美人。そして、いい匂いの発信元もこの美女だったようで、思わず息を深く吸い込んだ。


「あんた、気絶してたのよ」


「え、何で……。俺、松本を助けに来たのに……」


「その“松本”にドライヤーを思いっきりぶつけられたのよ」


美女は、その時のことを思い出したのか、クスクス笑い出した。


その笑顔が屈託なくて、美人なのに可愛いって反則だろ、と彼女が笑っているのをボンヤリ眺めていると、ふと自分の今置かれている状況に気付き始めた。


俺は、こんな所で美女に見惚れている場合ではない!!


bitter bitter sweetの最初へ bitter bitter sweet 66 bitter bitter sweet 68 bitter bitter sweetの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前