♠刺激的な女♠-2
怒鳴りながら服を脱げと脅す男と、必死で抵抗している松本。
松本っ……。
ギュッと目をつぶるといろんな表情の松本が脳裏をよぎる。
あっかんべーをしたり、睨んできたり。俺にはひどく冷たい態度を取った松本。
俺の告白を踏みにじり、古川さんにばらし、騙されていることを知らずに小野寺くんをかばっては俺を大っ嫌いと罵ったクソ女。
そんなクソ女が小野寺くん達に今まさにマワされようとしてたって、自業自得だし、俺にはなんの関係もない話だ。
でも、だけど。
ふと脳裏に松本の笑顔がフラッシュバックする。
告白する前は、たくさん笑顔を見せてくれた。
告白してからは、俺をおちょくるような態度もたくさん取られた。
でも、小悪魔っぽく笑う松本も、ワザとぶりっ子して俺を惑わす松本も、やっぱり可愛くて、その笑った顔がなんだかんだで見惚れてしまって。
そんな松本が、今この瞬間にも怖い思いをして泣いているかと思うと、クソ女だってことすらどうでもよくなる。
やっぱり俺は松本が泣かされるようなことは絶対に許せない。
ギュッと目を閉じ、小さく頷いた俺は、迷いを断ち切るように震えていた膝にワンパンチ。
そして、声がした店の奥の方に足を踏み入れた。
「松本っ! 助けに来たぞぉっ!!」
ーー次の瞬間、俺はポカンと口を開け、拳を振り上げた状態のまま固まっていた。