の-7
「安達くんとデートするんですって?」
経管の部屋を出たところで、うっすいパソコンを抱えた、
例のシステム部のきれいなおねー様に会った。
安達さんを「くん付け」で呼ぶ人。
一体、私と安達さんの明日のデートはどこまで噂が広がっているのか。
「安達くんとのデートは初めて?」
「は、い」
なんで私がこの人のそんな質問に答えなきゃいけないのか。
「彼のデート、素敵よ」
「・・・・」
「大人の恋がしたいなんて、みんなの前で言ったほどですものね」
何でも知ってるな!この人!
くすくす笑うそのきれいな笑顔にスーツがやけに似合ってる。
「大人の男のデートを楽しんでいらっしゃい」
綺麗な顔で笑うその人は
どうして安達さんのデートを「素敵」だと知っているのか。
安達さんの元カノなのか・・・
色々考えたらきりがない。
大人の男は、当たり前のように社会人1年目の私より色々な経験がある。
それは仕事だけじゃなくて
恋愛も、デートも、何もかも。
安達さんはなぜ私なんかにかまってくれるんだろう。
子供の私が珍しいのか。
その珍しい気持ちはいつまで続くんだろう?
その間に私は安達さんにどんどん惹かれて行って・・・
どんどん好きになって
大人の失恋まで経験させてくれるんだろうか?