♥なかなか素敵な男♥-7
でも、それは何でなのか自分でもわからない。
だけど何かが変なのだ。
自然と眉間にシワを寄せ、手を顎に当てて考え込むあたし。
すると、
「ごめんねぇ、愛想の悪いスタッフで」
と、天童さんの顔が、突如真横にヌッと現れたもんだから、思わず小さな悲鳴が出た。
でも、そんなあたしの様子なんて一向にお構いなしで彼は話を続ける。
「あの子はねぇ、昔っから人見知りがすごいのよ。見た目があんなだから、初見で人から憧れられたり好かれたりすることが多いんだけど、深く付き合う内に、みんな離れていっちゃって……」
「えぇ……、嘘!?」
あんな美しいのに、みんな離れて行くなんて……。
ヒロさんの美しさに、みんな気後れしちゃうんだろうか?
小野寺くんと談笑している姿一つにしても神々しくて、後光が射しているよう。
そんなヒロさんをボンヤリ眺めていたあたしに、天童さんがボソッと呟いた。
「あの子、女にさえ生まれてくれば向かう所敵なしだったのに……。天は二物を与えずとは言ったもんだけど、あの子の場合『ブツ』なんていらなかったのにねぇ」
刹那、あたしの瞳は極限まで見開いた状態で固まった。
……この人、今、何て言った!?
「どうしたの、里穂ちゃん?目玉が飛び出しそう」
「あ……え、えあ……」
ああ、ダメだ。聞き流しそうなほどサラリと言ったこの人の言葉が衝撃的過ぎて、唇が上手く動かない。
『女にさえ生まれてくれば』ってことは……。
さっきから口を鯉のようにパクパクさせているあたしの、言わんとしていることを察したらしい天童さんは、「ああ、そっか」と、一人納得したようにポン、と手を叩いた。
そして、小野寺くんとおしゃべりをしていたヒロさんを手招き。
面倒くさそうにこちらにやってきたヒロさんの頭を小脇に抱えた天童さんは、イタズラっぽく笑うと、
「そう言えば里穂ちゃんには、まだちゃんと紹介していなかったのよね。こちらがうちの店の副店長でもあり、アタシの“弟”でもある天童弘人! よろしくね!!」
とヒロさんの顔を強引に上げさせた。