♥なかなか素敵な男♥-3
そんな抜群のセンスを持った天童さんだから、間違いないって言い切る小野寺くんのことも理解はできる。
……でも。
「抵抗あるんでしょ、このスタイル」
天童さんに見透かされて、思わず肩が縮こまる。
だけど彼はそんなあたしに腹を立てる訳でもなく、カラカラと豪快に笑い出した。
「大丈夫よ。あくまでもベースはコレって言うだけで、実際はこんなに色も奇抜にしないし、もっと柔らかく女らしさは残しとくつもりよ? もちろん、コンテストが終わったら日常生活でも違和感ないスタイルに直すし」
「…………」
それでも鏡の中の自分の顔は晴れることはなかった。
コテで緩く巻いたロングヘア。
普段からお手入れを頑張っているおかげで、ツヤもあるし、『髪が綺麗』と褒められることも多い。
思えば高校を卒業してからこの髪型だったなあ。
もちろん、カラーしたりたまにはストレートパーマをかけたりして変化を楽しんできたけれど、基本的には、このスタイルばかりだった。
“量産型”と言われてしまったらそれまでなんだけど、それだけこのヘアスタイルは万人ウケするってことで。
この髪型だととにかく合コンでも一番人気だったし、知らない男の子からも告白されることもあったし、だから今のヘアスタイルが自分に一番似合うんだって思ってた。
だからセンス抜群の天童さんに勧められても、すんなり首を縦に振ることは出来なかった。