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bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

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♥なかなか素敵な男♥-4

今日のバイトで、コンテストのモデルの話を小野寺くんからいきなり聞かされて、とりあえず話を聞くという条件でここに連れてこられたわけだけど。


長年付き合って来たヘアスタイルを大幅に変えたいと提案されるとは。


結構強引にモデルをお願いされたけど、これは断った方がいいんじゃないかな。


頭の中で考えあぐねる。


「まあ、イキナリ言われてもすぐに答えは出せないわよね。あくまでアタシの希望はコレってだけだから、そんなに気にしないで? 里穂ちゃんがどうしてもイヤなら、別のスタイルで行くことも出来るんだし」


「でも、天童さんの希望にそぐわないなら、モデルは別の人を探した方がいいんじゃ……」


「それは無理。アナタを一目見た時、モデルはこの娘しかいないって、ピンと来たの。だから、お願い。モデルだけは是非やって欲しい」


彼の真剣な顔に、あたしもつられて唇をキュッと結ぶ。


そんな真剣な顔されたら、断れる訳がないじゃない。


「……わかりました」


静かに頷くと、天童さんの顔がパアッと明るくなった。


「よかった、それじゃあコンテストまで一緒に頑張りましょうね!」


差し出された手は大きくて、握手を交わすとその力強さにドキッと胸が高鳴る。


顔を上げれば、間近にある天童さんの顔。


少しこけた頬に、口元のヒゲ。ややつり上がった太めの眉。


こんな男らしい見た目だと、オネエって感じが全然しない。


小野寺くんがオネエなら勿体無いと思いつつも納得出来るけど、この人がオネエなのはやっぱり違和感。


見た目だけなら、この人は天野くんタイプに近いのに、なんてボンヤリ眺めていると、


「あ、そう言えば昼に一緒にレジにいた男の子、なんて言うの?」


と、天童さんが天野くんの事に触れたから、驚いて肩を竦めた。


「ああ、天野くんの事ですか?」


「天野くんって言うの、あの子。なかなか素敵じゃない」


「そうですかあ? あたしは全然……」


お昼の天野くんの態度を思い出すと、またイライラが込み上げてくる。


あんな偏見ばかりの男の何が素敵なのよ。


「うーん、あの子はいい男だと思うわ。アタシのカンだけど……。里穂ちゃん、付き合うならああいう男が絶対幸せになれるわよ」


また、癖で拳を口元に持っていった天童さんは、嬉しそうに目を細めていた。


はあ? いきなり何を言うの、この人は。





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