チ-4
「いつもの居酒屋で良いか」
「もうこんな時間だもんな」
恐らくシステム部のメンバーはそんなことを話していて
私は聞いていないふりをして、早く1階に着け!なんて階数表示を眺めていると
「あ、俺はパス」
聞き慣れてはいないのに、聞き分けられるその声は安達さんで
「帰るのか?」
へぇ。このまま帰るんだ。
私もその答えに興味を持って右耳をダンボにして聞いていた。
「いや。美鈴。ご飯食べに行くだろう?」
反対側から聞こえたその声に
エレベーターの中はシンッとなって。
中に居た全員が一斉に私に向かって顔を向けたのが分かった。
安達さん・・・
これって・・・
恥ずかしさから何も答えない私に
「おい。美鈴」
と、追い打ちをかける。
「あ、の、安達さんっ」
「今帰りだろう?」
「はい・・・」
「ご飯食べに行くだろう?」
「・・・・」
「食べたのか?」
「いえ」
やだやだ。空気読んでよ。
睨んでる!睨んでる!
おねー様たちが睨んでる!
男性は納得したような顔で見つめないで!
「俺は美鈴と行くから、居酒屋はパス」
早く1階に着いて〜〜〜!!!