新たな未来への芽生え-4
鳥の鳴き声と無邪気な子供たちの声を遠くから耳にし、銀色に輝く川の流れにゆっくりと目をやる。
「え、今回のデートを誘ったのは自分のせいだって?」
「………。」
彼と肩を並べ、川の横を散歩しつつ、無言で首を縦に振り胸につっかえていた想いを解放する。
「…私が佐伯君たちの騒動でいつまでもうじうじして暗い顔ばっかするから、それで心配になって。」
「若葉、ちゃん。」
「甘えてる…よね私ってば。」
そう言うと彼は少し間を置き、どこか遠くを見上げ。
「おんなじ……だよ。」
「え?」
「だからさ、僕も君と同じ気持ちだったんだ、…だから。」
「風馬、君。」
「それに、落ち込んでる恋人を何とかしてあげたいのは人として当然でしょ?」
「っ!!」
確かに、そう…だよね。なんだろう今までそのことでうじうじ気にしてた自分がバカに見えてきた。
私、いっつもそうやって彼に助けられて…。ううん彼がそう言ってくれたんだもの、自身持たないと。
「さぁ、いよいよ僕ら高3になるんだね。」
「えぇ、クラスとかどうなるんだろう。」
「分からない、でもまた皆一緒だといいね。」
「うん!」
私たちはいよいよ高3を迎えます。
次回、69話に続く。