暑い 熱い アツい夏休み-4
こと子の音楽室での独奏会は、その日でおしまいになった。
次の日から工事の場所が変わって、音楽室に入れなくなったから。
夏休みが終わりに近づいたころ、ぼくは こと子に呼ばれて、こと子の部屋であのオルガンの録音を聴かせてもらった。
「『ライブ録音』やね。」
「うん。『ライブ録音』やろ。」
考えていたより、工事の機器の音もいっしょに録音されていた。
「あんなうるさくて、暑いとこで ようこんだけ演奏できたな。」
「ひいとる時は、夢中やったわ。」
でも、ぼくはその録音を聴くと、パンツ一枚でオルガンに向かっていた こと子の姿が浮かんできて、チンチンがきゅうくつになってた。
ぼく、その時は まだこと子に言えてなかった。
「あんな感じの、足踏みオルガン
ぼくの部屋にも、あるんやけどなぁ。」って。