女の悦び-6
「時に奥さん、ご主人は今週から出張でしたかな?」
「え、ええ…月曜日に」
「そうかい…それじゃ寂しかろうね。アッチのほうも随分ご無沙汰だそうな…はっはっはっ」
昼間からワインを飲んで少し酔ったのか、川島は香織の溢れそうな乳房を覗き込みながら、香織にセクハラを仕掛けた。
香織は川島の視線を感じ、胸を隠したかったが、嫌がる素振りを見せてはいけないと我慢した。
そして…暫くの沈黙のあと香織は口を開いた。
「……あの…今日はスミマセン…主人が…その…恥ずかしいお願いをして…」
香織は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして俯きながら答えた。
「ん?…いや…」
川島は流石に元刑事だ。
それを聞いた瞬間、ピンときた。
衛との会話、香織の言動、男を誘うエロい格好、まるで自分が来るのを待っていたかのような用意周到さ。
ワインは…恐らく偶然だろう…。
(あの男だ…)
川島は今しがた、この家の手前で若いサラリーマン風の男が、家の前に立っているのが見えた。
男はインターホンを鳴らそうか躊躇している様子で、川島と目が合うと足早に駅の方へ歩いて行ったのだ。
(なるほど、香織は旦那公認であの男に抱かれる予定だったんだ)