女の悦び-5
川島は10日ほど前、会社帰りの衛と駅で偶然会った時のことを思い出していた。
「おや?進藤さん、今お帰りですか?」
「あ、これは、川島会長…こんばんは…」
「相変わらず仕事がお忙しいようですな」
「申し訳有りません。せっかく町内会の役員させて貰ってるのに、ロクに顔も出せませんで…」
「いやいや、その分綺麗な奥さんがしっかりやってくれてますよ」
「そう仰って頂くと助かります。ただ、恐縮なんですが、来週から海外出張で暫く日本に帰られないんですよ。まぁ単身なので気楽なんですけど」
「そうでしたか、それは大変ですねえ。それじゃ奥様も寂しいでしょうな、アッチのほうも…はっはっはっ」
「いやあ、アッチは元気がなくて最近カラッきしで…お恥ずかしい限りです。ははっ…」
「おや、若いのに…働き過ぎなんですよ…。良いクリニック紹介しましょうか?」
「機会があれば是非…ははっ、それではまた…」