夫の計画-3
そして、衛がインドへ発つ前夜、日曜日の夜…
ベッドの中で衛が香織に話し掛けた。
「いよいよ明日か…」
「そうね、あれからもう三週間経っちゃったね…身体には気を付けてね」
香織が答えた。
「うん、アリガト…あのさ、」
衛が続ける。
「俺…アッチのほうの元気なくしてもう二年ぐらいかな…香織にはホント申し訳ないと思ってる…」
「衛さん…何言ってるの⁉ そんなこと…お仕事が上手くいって日本に帰ったら、きっと治ってるわ。私のことは気にしないで…」
「いや、香織の旦那として放っておけないよ。だからさ、提案…有るんだ…」
「てい…あん?」
不安そうに香織は衛を見て尋ねた。
「うん……率直に言うと…香織、誰かに抱かれてみないか?…」
「え?…え?…まもる…さん?な、何言ってるの?フザケてるの?」
想定外の衛の言葉に香織の鼓動が大きく脈を打った。
「俺は真面目だよ」
衛は香織の目を真っ直ぐ見据え、そう言った。
「だ、だって…私は衛さんの妻なのよ。そんなこと想像も出来ないわ。私は大丈夫…こんな事で衛さんから心が離れたりしないもの…」
そう答えながら香織の瞳から涙が溢れた。
衛は香織の頬を伝う涙を優しく指で拭いながら言った。
「じゃあさ、俺の為に抱かれてくれないか?…」
「衛さんの…為…?」
香織が不思議そうに衛に尋ねた。
「あぁ…俺にはその…寝取られ?願望ってヤツがあるのかも知れない。香織は俺の妻で、世界で一番愛してる。何が有っても香織を一番に守りたいと思ってる。」
「うん」
香織は嬉しくなって安心したように頷く。
「ずっと前だけど…二人で街を歩いてた時、すれ違う男達が香織をイヤラシイ目で見て…香織も恥ずかしそうにしてた時…俺、腹立たしいのと同時に、何とも言えない感情が湧いて来たんだ。例えば、香織がその男達に躰を触られたり、セックスしてるのを想像したら、嫉妬と興奮が湧き出てくることが分かったんだ」
これは嘘ではなく、衛の本心だった。