セ-6
エレベーターの中だというのに。
さっきまで肩を抱いていた手は、私の頭を支え
開かされた唇の中に舌をゆっくりとねじ込んできて。
絡まった舌はエロティックに刺激する。
こ、こんなキスは初めてで
ぎゅっと握った安達さんのスーツを持っていなければ
このままここに崩れそうだ。
ポンッと小さく鳴ったその音で我に返ってみれば
目の前のドアは開いていて
安達さんの部屋の階に着いたらしい。
親指で私の唇をぬぐうと
「行こうか」
と私の手を握って促した。
私はキスに夢中になったのに
安達さんは、そんな事があったことすら感じさせない足取りで
部屋の前まで来ると鍵を開け私を部屋に入れる。
さっきまで、遠くでカッコいいと眺めているだけだった男の部屋に
エッチをするためにここにいるなんて。
残業中の私からは想像も出来ない出来事だ。
「おいで」
そのままベッドに押し倒されると思ったら
安達さんは、私をソファーに座らせて
冷蔵庫から2本のビールを持ってきた。