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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第20話『企画・花火大会』-2

「いっそのこと、オーソドックスに『ビンタ』でいいんじゃないかな? B生全員に、相部屋の後輩の弛んだところを申告させるの。 それで性質が悪いC生のエピソードがあれば、思いっきりひっぱたく。 自分のせいで誰かが叩かれるのって辛いから……まして自分のせいで先輩がぶたれるなら、鈍チンなC生も目を覚ますでしょ」

 と、【A2番】が提案する。 他のメンバーは、宙を眺めたり首を傾げたりと、反応は今1つだ。

「せっかくの夏休みなんだから、日付をまたいで色々できるじゃん。 『48時間耐久オナニー』とか『48時間耐久水泳』、あとは『48時間耐久スクワット』に『48時間耐久浣腸』――あれっ、ど、どしたのみんな? そ、そんな目でウチをみないでよ……あはは……じ、冗談だってば」

 【A3番】の案はあっさりと、限りなく冷たい視線により却下された。 

「Cグループさんが、先輩に申し訳なく思ってくれればいいのでしょう? 『落書き掲示板』くらいが相応な気がしますわ。 ほら、わたくしたちも時々されたじゃないですか。 『後輩の指導すら碌にできないクサマン』だとか、『後輩に舐められっぱなしのケツマンコ』とか油性ペンで落書きされて……丸1日裸で過ごしたのは、同期の手前中々恥ずかしかった記憶がありますわ」

 おずおずと申告した【A4番】の案に対するリアクションは、明確な否定はないものの、積極的に肯定してくれるわけでもない。 総じて曖昧というか、悪くはないだけで良くもないという、微妙な空気。

「ええっと……後輩が弛んじゃったわけですから、締め付ける意味でですね、ボンレスハムばりに縛ってみるのはどうでかなって思います。 ついでに中庭の松に吊るして、下で松葉を集めて焚火して、松煙で燻製風に燻(いぶ)してみたら、本物のボンレスハムっぽくて……あたし的には、絵になるし、大掛かりだから今みたいに時間があるときしかできないし、反応もきっと面白いような……なんちゃって……え、ええっと、ちょっと酷すぎますよね……撤回します」

 【A3番】に負けずとも劣らない冷たい視線を浴び、【A1番】は縮こまる。 『アイさんって、酷いのか優しいのか、たまに分からなくなりますわ』、と肩を竦めた寮長のコメントは他のメンバーを代弁していたろう。

 結局5人が一致した案は、最後に提案した【A5番】になった。

「夏の終わり……学園に入る前、毎年『花火』してたんだよね。 ただ厳しく指導するだけっていうのも詰まらない気がする。 どんな指導をするにしても、少しでいいから『ユーモア』がなくちゃって、最近よく思うんだ。 まず、C生がちゃんとした寮生になってるかどうかをB生全員に申告させる。 本人に後ろめたいことがなければ、それでよし。 ちょっとでも思い当たる節があるなら、『花火』になって禊を注げばよし――どう思う?」

 誰しもが郷愁をそそる、夏の花火。 噴出花火、打ち上げ花火、尺玉花火にロケット花火。 手持ち花火では、ススキ、絵型、スパーク、噴出手筒に線香花火。 マイナー処では、ネズミ花火に蛇花火、煙玉に癇癪玉、吊花火にたこおどり、なんて個性豊かなモノもある。 超がつく変わり種には、ナイアガラの滝、タイガータンク、バブルガム、ケーブルカー、金魚花火、パラシュート、ピロピロファイアと、一々挙げれば枚挙に暇がない。

「B生にどれか1本渡して、自分で演出させるんだ。 で、夜に中庭で花火大会して、C生と一緒に鑑賞するの。 自分のせいで先輩が花火の台になってるって知ったら、C生にしたら気まずいと思うよ。 火花って見かけが派手だし、実際肌に当たるとアツッてなるし、ヘタなビンタより強力と思う。 今までに『花火』を指導に使ったなんて聞いたことないし……我ながらナイスアイデアだよ」

 【A5番】が自画自賛し、残り4人も大きく頷く。 考えれば考えるほど、『花火』には夏の最後を飾るに相応しい響きがあった。 5人は『花火』での指導に向けて、更に詳細を話し合う。 

「たださぁ、すっごく面白そうなんだけど、難点がないっていったらウソになるよねぇ……。 まず、やったことないってことは、メチャクチャ危険だったり大怪我に繋がる可能性もあるわけよ。 ってなると、どのくらいまでいけるかどうか、事前に試してみなきゃダメじゃん。 つまり、ウチらがリハーサルしておくのって必須だよね……当然ウチらのオマンコで」

「片付けと準備も大変そうです。 蝋燭、マッチ、バケツ……あとはゴミをどうするかも。 それに、周りに火がとばないように気をつけないといけないし、夜にうるさくする許可をとる必要もあります。 結構大がかりな行事になっちゃいますけど、大丈夫ですか?」

「それに、当たり前ですけど、誰も『花火』本体をもっておりませんもの。 寮監にお願いしたとして、わざわざ手配して貰えるでしょうか。 たかが寮の行事に『花火』だなんて、先輩がやったことならまだしも、前例がないことですから……一生懸命お願いするにしても、到底楽観はできませんわね」

 話し合う中で色々否定的な面も見えてくる。 けれども、少女たちはこれくらいで断念する程ヤワじゃない。 学園生活で叩きこまれた第一は、『やってやれないことはない』という――よきにつけ悪しきにつけ、為せば大概何とか為る――ことだ。

 他の寮のAグループ生は、数日後に控えた『夏季休暇明け課題考査』に向けて、粛々と試験対策に励んでいる。 一方で史性寮A生といえば、愚にもつかない行事に向け、みんな揃って遅くまで、おでこを寄せて相談するのだった。


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