全裸で処刑される美女-4
間も無く救急車は到着し、明子を乗せ病院に搬送した。救急車が去り現場に何も興味のある対象がなくなった途端、野次馬達はそれぞれ不規則な方向へ散って行った。現場に残された警官とマギーと華英の前には先程までここで何があったのか知らない会社員や学生が歩きスマホをしながら通り過ぎて行く。
「で、いつから彼女はここに張り付けられてたの?」
マギーが警官に尋ねる。警官の視線が落ち着かない。それは黒のタンクトップ姿のマギーにドキドキしてしまっているからだ。
「えっと…」
「ん?何か?」
ソワソワする様子を見て華英が割り込んで来る。
「ほら、マギーがそんなカッコで挑発してるからでしょ?ねぇ?」
華英が警官にそう言うと、いやぁ、アハハ!と頭をかいて照れ笑いする。
「挑発とかしてないし!」
「だってそんな谷間を見せられたらドキドキしちゃうって!ねぇ?」
「いやぁ、ご立派なんで…」
「余計なお世話よっ!」
マギーは慌てて胸元を隠した。かと言って替えの服もない。若干キレ気味に警官に聞いた。
「で、いつから張り付けられてたのよ!?」
笑みを消し背筋を伸ばして答える警官。
「通報を受けたのは6時です。二階の銅像の横の木に全裸の女性が張り付けられてると言いに来た人がいて慌てて向かいました。ただその前にも通行人はいただろうし、あれだけの異常な光景ですからすぐに騒ぎになってもおかしくないと思うんですよ。だから1時間2時間前ってのはないかと…。」
「そう。確かにね。でも今の人らは人が困ってるトコを積極的に助けようって人は少ないから、写メ撮って知らんぷりして去って行ってもおかしくはないしね…。とりあえずSNSチェックして1番早く投稿した人の時間を調べるか…。たいていそんなオイシイネタ、投稿するもんね。ところで通報して来た人の身元は?」
「いや、ここまで一緒に来たんですが、いつの間にかいなくなっちゃって…」
「はーっ!?何してんのよ!ダメじゃない、第一通報者はしっかり抑えとかないと!」
「す、すみません!」
少々気が立っているマギーを宥める華英。
「まーまー、いきなりあんな事態が目の前に現れたら慌てちゃうわよねぇ?仕方ないよ。ドンマイドンマイ!」
警官の肩をポンと叩く。
「ほら、男からのポイント稼いでる暇があったら遺留品見つけるわよ?」
「ハーイ。」
マギーと華英は明子が張り付けられていた銅像周りに何か落ちていないか調べ始めた。