第0章 女刑事コンビ-7
思わず気を許して自分の隠すべく姿を見せてしまった事にハッとしたマギーは話題を変えた。
「は、華英はどうなのよ?この間、交通部の人らと合コンしたんでしょ?」
華英は合コンなど積極的に参加していた。が、彼氏が出来たとか、そう言う具体的な話は聞いた事がなかった。
「あー、ダメよ、あれは。だって車の話しかしないんだもん。分かんないわよ車なんて。興味ないし。俺の何じゃらエックスでドライブ行こうとか言われてもねぇ。ドライブ中、車の話ばかりされたらたまったもんじゃないし。」
「アハハ!さすが交通部。彼ら車マニアだからね〜。あんまりさぁ、こだわった車乗ってる人って嫌よねー。こっちは楽しければ軽でもいーのに、いい車が全てみたいなとこあるもんねー。」
「そうそう。で、高山知ってる?」
「あ、知ってるよ、高山さん。」
「あいつねー、ワンボックス持ってるでしょ?でも2人しか乗れないんだって。運転席と助手席。じゃあ後ろはどうなってんのかって聞いたら、布団敷いてあるんだって。何でかって言ったらカーセックスする為なんだってさー!」
「最低〜。」
「だよねー。乗ったら最期じゃんねー。気味悪くて絶対乗りたくないっつーの!」
「ヤバいね、それ。お金かけないでモノにしようとしてるみたいで、女からしたら屈辱よね。」
「だから!せめてホテル代ぐらいケチんなよって感じ〜。」
「だよねー。」
それから今までコンパに行った時の話でああでもないこうでもない言いながら、気づけばもう朝の6時になっていた。
するとドアをノックする音が聞こえた。
「なぁに??」
華英が答えると、ドアの向こうからは華英の父、達彦の声がした。
「開けてもいいか?」
「いいよ〜?」
華英が答えるとドアが開き達彦が顔を覗かせた。
「マギーちゃん、来てたんだね。」
「お邪魔してます…」
スッと起き上がりペコリと頭を下げたマギー。
「いいよいいよ、いつでもおいでよ、気にしないで。」
そう言った達彦に華英が言う。
「お父さん、マギーの事大好きだもんね!」
「お前と違って美人だしな!」
「ウザいし!」
「ハハハ。今度早く来て一杯やろうよ。」
「あ、是非♪」
「ちょとお父さん?マギーはキャバ嬢じゃないんだからね!?」
「馬鹿!そんなんじゃねーよ!」
「どうだかね〜。」
疑惑の目を向ける華英。マギーはニコッと笑いながら言った。
「私でよければお供しますよ♪」
「本当??約束だよ!?」
「はい♪」
達彦はあからさまに嬉しそうな顔をしていた。
「ちょとマギー?マギーはツンデレキャラでしょ?何でいい子ぶってんのよっ??」
「何よ??」
華英を睨むマギー。そんな2人を見て達彦は言った。
「2人は姉妹みたいだな!じゃあ今度お母さんも混ぜて4人で飲もうな!」
「はい♪」
華英から見れば小憎たらしいぐらいに愛嬌良く笑うマギーに達彦はメロメロだった。だらしない顔をしたまま一階に降りて行った。
「詐欺師!」
「何よっ?」
そう言いながら、達彦の言う通りお互いが姉妹のような感覚を覚え嬉しかったりしているのであった。