第六章 水面(みなも)-2
「ダメ?」
彼は今まで見せたことのない素敵な笑顔で言った。
「ダメじゃないよ、とても感じる。でも、僕のためにしてくれてる君が可愛すぎて。」
「それ、褒めてるの?」
甘噛みしてやった。
「イテ…まあ、そういうのもキライではないけど。」
「ヘンタイ。」
「あれ、知らなかったの?」
「知ってるよ。」
今度はテツヤが膝立ちになり、私を優しく押し倒した。そして下半身だけになっているスク水を引き下ろし、カラダを重ねて唇を合わせてきた。私は目を閉じ、柔らかく温かい感触を受け止めた。
彼の唇はゆっくり、ゆっくりと這い回りながら徐々に下がっていく。膨らみと先端へ、括れへ、そして…。
「何してるのよ、くすぐったい。」
茂みに頬ずりして掻き分け、姿を現した敏感な突起に口付けた。
「んん…。」
私は既に脱力している。テツヤのすることに全く抵抗するつもりがないからだ。そんな私の気持ちを分かっているのか、いつものように強引で非道いやり方ではなく、優しく愛してくれた。全身がとろけていくようだ。
「いい?」
テツヤが訊いてきた。
「訊く?それ。答えてもいいけど。」
「真似すんなよ、コラ。」
「フフ。」
彼は私にあてがい、ゆっくりと体重をかけてきた。初めては痛い、と聞いている。どんなものだろう。思わず身を強張らせてしまった。
「大丈夫だよ、任せてくれる?」
「…うん。」
さらに圧力を増した彼が私を開いていく。正直、少し痛い。でも、彼を信じて力を抜いた。
「はう…。」
ツルン、という感触とともに、彼が入ってきた。それは燃えるように熱く、躍動していた。
「ああテツヤ、あなたは今、私の中に居るのね。」
「そうだよ、君の中に居るんだ。なんて熱く包み込んでくれるんだ。最高だよ。」
「私も。こんなに素敵なものだとは思っていなかった。」
テツヤは私の中で動き始めた。緩急、強弱、自在に動き回り、私の悦びを引き出していく。
「ああ、ああ!」
私は快感に溺れ、無意識の声を漏らし続けた。
「テツヤ、私もう…。」
「オレもだよ。さあ、いいかい?」
「うん。あ、ああー!」
「イクの?イクんだね。」
「そう、そうよ!」
テツヤはカラダを離そうとした。その意図を悟った私は彼の腰に手を回してしがみついた。
「そんなことをしたら…ああ、もうオレも…。」
「いいの。ちょうだい、あなたの愛を。」
「うう、うぁー!」
「はぁうぅー!」
私の中でテツヤが一気に膨張し、愛を放つのを感じた。そのまましばらく動けなかった。
やがてテツヤがゴロリ、と仰向けになり、私がその上にうつぶせになった。一つにつながったままで。
優しく髪を撫でてくれる彼の上で、私は生まれてから今までで最高の幸せを感じていた。
その時、プールの入り口に人影が見えた。