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さがしもの 〜 custom-made virgin
【調教 官能小説】

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第七章 傷跡-1

 内線の呼び出し音が鳴った。私は半ば期待を込めて、半ば不安な気持ちで受話ボタンを押した。
 「はい…。」
 「あ、わたくしですわ。ちょっとお話したいのだけれど、今、おじゃましてもよろしいかしら。」
 「ええ、私もちょうどお話がしたかったんです。どうぞいらして下さい。」
 「では、お伺いしますわ。」
 ミヤビさんからだった。私は少し残念で少しほっとした。内線はほぼ仲間同同士の連絡用で、それ以外の用途に使われることはまずない。それが掛かってきて、もしも仲間じゃなかったら…。通常ならざる出来事が起きたということだ。良い事であれ、悪い事であれ。
 ミヤビさんはすぐに訪れた。だって、ふたつ右隣の部屋だから。
 「お邪魔いたしますわ。」
 彼女の後ろにはサユリさんがいた。
 「サユリさんにもお声をお掛けしたのだけれど、よかったかしら。」
 「ええ、もちろんです。お二人とも、どうぞお入りください。」
 ダイニングテーブルに二人を案内し、アールグレイを用意した。
 「いただきますわ。」
 ミヤビさんが一口付ける間に、サユリさんはバ、っと飲み干した。
 「アチっ!」
 「あたりまえですわ。」
 「うー…。」
 「で、さっそくお話なんですけれども。」
 「はい。」
 「テツヤ見たか?オレのとこへはぜんぜん来てないんだよ。もう丸三日だぜ。」
 「わたくしの所へもですの。こんなことって初めてですわ。」
 確かにそうだ。これまではほぼ毎日来ていた。
 「私の所へもです。でも、ひとつ、思い当たることがあるんです。」
 「何だ?」
 「どうしましたの?」
 言い澱んでしまった。それはそうだ。私自身、いったい何が起こったのかよく分かっていない。
 「話してくれないか、知りたいんだよ。」
 「話しにくい事なんですのね。」
 「ええ…。」
 二人はそれ以上強い調子で訊こうとはしないが、私を見つめが目が真剣だ。
 「…分かりました。お話します。でも、はっきりと理解できていない部分をたくさん含んでいることをご了承下さい。」
 「ええ。わかりましたわ。」
 「うん。頼むよ。」
 私はプールでのテツヤさんとの一件をかいつまんで話した。
 「そんなことが…そりゃあたしかにワケ分かんないな。なんでアイツとそんなことに。」
 「サユリさん!」
 「あ、ごめん。」
 「いいんです、私もワケ分かりませんから。ただ、彼と一つになった時、とっても幸せを感じたのだけは確かなんです。」
 「恋…愛…。」
 「性欲…。」
 「サユリさん!」
 「…ごめん。」
 「それが今からちょうど三日前。」
 「姿を消した時期と一致するな。」
 「そうです。特に、その後の出来事を考えるとなおさら。」
 「まだ続きがあるのですわね?」
 「はい。」
 二人の視線が私の口元に集中する。
 「ヒロキが、現れたんです。」
 私とテツヤさんが愛し合ったプールの入り口にヒロキが現れた。二人は無言で睨みあい、部屋に帰ってなさい、っとテツヤさんに言われた。私はその場を離れることにとても強く抵抗を感じたが、彼の口調はそれを許さないものだった。振り返り振り返り出口へと向かい、操り人形の様にぎこちなく歩いて部屋へとたどり着いた。
 「つまりその後、二人の間に何かあったと考えられるというわけか。」
 「そうなんです。それ以来、部屋へ来てくれないか、電話が鳴らないかと気が気でなくて。部屋を出ていないんです。」
 「そういえば、お姿を全くお見掛けしませんでしたわ。そういう事でしたのですね。」
 「…オマエな。」
 「え?」
 「早く言えよバカ!ぬいぐるみのクマ代わりにでも話を聞いてやることぐらい出来るぜ。あんなことした仲じゃないか。なあ。」
 「そうですわ。あんなことを…じゃななくて。今からでもいいではないですか、一緒にこの事態を考えませんこと?」
 「だな。ごめん、ちょっと興奮しちゃった。」
 私はジーン、っと来てしまった。誘拐されここに集められた、ということ以外に何の繋がりも無かった私たち。それが今では互いを仲間だと認識している。普通にクラスメイトだったり、部活で一緒だったり。それはそれで大切なお友達だけれど、こんな異常な状況で出会ったからこそ分かり合えることもある。
 その時。とんとん、とノックの音が聞こえた。私たちは一斉にドアの方を向いた。このたたき方は、私たちの食事などの世話をしてくれているユキノさんだ。
 「はい、どうぞ。」
 スィ、っとドアが開き、予想通りユキノさんがドアの所に立った。
 「まあ、皆さんお揃いでしたか。ちょうどよかったわ。呼んでくるように言われたの、ヒロキさんに。」
 三人は重い表情で目を合わせあった。来たか、と。
 「201号室、分かりますね、一番奥の。」
 「ええ、分かりますわ。」
 ユキノさんが去ったあと、しばし沈黙が流れた。
 「どう思う?」
 「ユキノさんは、彼らの仲間ではなく雇われているだけだとおっしゃってましたわ。」
 「もし、それが本当だとすれば三対二。勝ち目はありますね!テツヤさんが味方ならなおさら。」
 「武器になる物を用意いたしましょう!」
 ユキノさんにはまるで通用しなかったが、無いよりはましだろう。ナイフやフォークなどをポケットに忍ばせた。
 「行きましょう。おそらくわたくしたちの疑問への答えがそこにありますわ。」
 「ああ、オレもそう思う。」
 「そうですね、行くしかないようです。」


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