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さがしもの 〜 custom-made virgin
【調教 官能小説】

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第三章 モヤモヤと施設と-2

 「あ、新人さんだね、よろしく!」
 上下白のスウェットを着た、スラリ、っと引き締まった体の女の子が声を掛けてきた。その浅黒い肌と短い髪から、彼女の快活な性格がうかがえる。
 「ねぇ、とりあえずぅ、こっちに来ませんかぁ。」
 全身時代錯誤なゴスロリ。クリクリに巻いた金髪もすごい。だけど、なんだかそれがさほど突飛に見えない、可愛らしい子だ。
 「そうですわ。わたくしのお隣が空いておりますでしょう?よろしければお座りになりません?」
 名家のお嬢様だろうか。けして華美な服装はしていないが、物腰からその出自を感じさせる。首を傾げてティーカップをつまんでいる様子が絵になる。
 私は、思い切って一番気になっていることを訊いた。
 「あの…皆さんも誘拐されてここに来たんですか?」
 ゴスロリの子が答えてくれた。
 「まぁ、そうなんだけどぉ。」
 続いてスウェットの人。
 「ははは!そんな風には見えない、ってか。」
 お嬢様も。
 「最初は皆さん、同じことをお訊ききになりますの。わたくしもそうでしたわ。」
 「はあ…。」
 停滞した空気を何とかしようと思ったのか、スウェットの人が自己紹介を始めた。
 「オレ、サユリ。」
 「そんな名前にはぁ見えないけどねぇ。」
 「うっせえな、最後まで聞けよ。」
 「ごめーん、続けてぇ。」
 「…まあ、そんだけなんだけども。」
 漫才か。
 「わたくしはミヤビと申します。お茶会に向かうお車に乗ったところまでしか記憶がありませんの。気が付いた時にはここにおりましたわ。」
 「あ、そうだ、オレはテニス合宿のシャワールームで拉致られたみたいだよ。」
 そうか、みんな同じような目に合ってここに居るんだ。
 「私わぁ、イベントスタッフのぉ、控室ですぅ。名前はぁ…」
 「ロリちゃんだ。可愛がってやってくれ。」
 「違いますぅ!」
 「本当のお名前は別にあるのですけれども、親しみを込めて、わたくしたちはそのように呼んでおりますの。」
 私も誘拐された状況などを話した。もちろん、ここに来てからどんな事をされたかなんてことは言えない。
 「まあそういう感じだよ。先輩たちも似たようなこと言ってたし。」
 「え、先輩?私たちの他にも誘拐された人が居るんですか、ここには。」
 「うーん、居る、っと言えば居るし、居ない、っと言えば居ないかなあ。」
 わけが分からない。それが顔にでてしまったのだろう、もう少し具体的に説明してくれた。
 「それじゃまたね、っと部屋に帰った方が、それっきり姿を見せなくなる事が時折ございますの。」
 「死んだのかもよ。」
 「ちょっとぉ、このお姉さん、顔ひきつっちゃったじゃないのぉ。」
 死んだ?…そういえばつい先日、私も殺されかけた。その恐怖に負けた私はその後、見られているのが分かっているのに、自分で自分にあんなことをしてしまった…。
 「まあ、そんなにしょっちゅうじゃないからさ、誰かが消えるのは。気にすんなよ。」
 すんなよ、って言われても。
 私にはもう一つ訊いておくべきことがあった。
 「みなさん、ここから逃げようと思ったことは無いんですか?」
 三人は顔を見合わせた。
 「あるよぉ。」
 「うん。実際、逃げるのはそんなに難しくないしね。」
 「でも、逃げられませんの。」
 「は?」
 「あのね。物理的には逃げれる。でも、逃げれない。そういう所なんだよ、ここは。」
 余計に分からない。
 「まぁ、だんだん分かるからぁ。ねぇ?」
 「だな。」
 「ええ、そうですわ。」
 その後私は三人の先輩たちからいろんなことを教わった。それによると、今私たちが居るのは共用のリビングルームで、二階には七つの個室。他には、小さいけれどプール、温泉、体育館とジム、シアタールームなどの設備があり、それらは自由に使えるらしい。まるで豪華な別荘のようだ。
 「ああそれからぁ、他の人の部屋に行くのも自由だけどぉ、鍵が掛かっているときはぁ、ノックとかもしちゃダメなのぉ。」
 やっぱりこの人たちも私と同じようなことをされているんだ。
 「部屋同士で内線使えるから、先に連絡とるのがいいと思うよ。」
 「わたくし、そろそろ部屋に上がろうかしら。」
 「オレも。」
 「私わぁ、もう少しこのお姉さんとお話するぅ。」
 「だめよ、ロリちゃん。お疲れになってらっしゃるようだから。それでは失礼いたします。」
 「ぶー。またねぇ、お姉さん!」
 ミヤビさんの言う通り、私はかなり疲れていた。仲間が居ることが分かったのは心強いのだが、彼女らの言っている事が何とも不気味で、漠然とした不安が胸から離れない。


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