罠-5
「じゃあ少しだけなら…。でも実は主人とは３年以上してないんです…。」
「まさかのセックスレス夫婦でらっしゃるんですね。驚きです。どうしてそうなったんですか？」
「娘を産んだあと、なんかそういう気分になれなくて、育児にイライラしてたのかもですね。２年間は全くなくてその後は何回かは求められてしたんですが、集中できずに何度か断るうちに誘われなくなって、そのうち主人の仕事が忙しくなってきたんですが、今度は私に性欲が戻ってきて、自分から誘って数回はしたんですが、だんだん疲れてるからと拒否される事が増えて、なんか誘いづらくなってきて、ここ３〜４年ぐらいはしてないですね…。はあ〜。ごめんなさい。人生相談みたいになっちゃいましたね。」
気を許して赤裸々に話した事が急に恥ずかしくなって笑ってごまかした。
「じゃあ、悶々としてお辛いですね？」
「ねぇ…」
としみじみと同調した。
「じゃあ悶々とした時はどうされてらっしゃるんですか？」
「えっ？どうとは？…」
質問の意味も求められてる答えも理解できたが、男性に面と向かって答えるにはあまりに破廉恥な質問で今までに経験のない場面を迎えていた。規律の厳しい女学校でもそういう話はしなかったし、大学時代や会社の同期の飲み会では男子達は下ネタを話していたけど、私はいつも頬を赤らめて笑ってごまかす組だった。コンパなどもほとんど経験がなく、主人にはそんな質問された事はなかった。ただ、４人の男性経験で一人だけ付き合っていない男だけには言わされた記憶があった。しかし知らない他人に聞かれるのはまた全然意味が違うものである。
「もしかして、浮気とか…、あ、セフレがいらっしゃるとか？｝
「いや、そんな…人生で浮気なんてしたことないです…。」
「こんな堅そうな方ですから、それはないですよね。じゃあ…、やっぱり自分で慰めますか？」
浮気を否定した以上逃げ道がなかった。浮気にしとけばよかったのかも知れないが、自身のつまらない正義感が出て、嘘でも不倫を容認することができなかった。
「えっ?、んー…。」
えへへと笑顔でごまかそうとしたが、石井さんは退路を断つように
「オナニーされてますよね？」
「まあ…そうですね…。」
笑いながら答えたが顔が紅潮して引きつったと同時に更に体が熱くなり全身汗が噴き出すよう感覚になった。腰の辺りからじゅわじゅわと流れ出るような感じが止まらない。顔を手で仰ぎながら石井さんから目線を逸らしたが、そんな私を逃そうとしない。
「週に何回ぐらいされるんですか？」
「１回するかしないかです…。」
「何か見ながらするんですか？それとも妄想ですか？」
「妄想ですね…。」
羞恥心を超えて少しドキドキしていた。腰の辺りがそわそわして何度も脚をもぞもぞと動かしていた。
「どんな妄想しますか？」
「ちょっと強引にされたりとか…。」
ぼやけた感じで答えた。本当はスマホで動画を見てから妄想に入るのだが、妄想するのは無理矢理犯される場面が多い。石井さんは全てを見透かすように
「自分が犯される姿を想像して感じるんですね。」
急に耳元でいい声で言われ、下着が濡れていくのがはっきりとわかった。
「こんな清楚で可愛い奥様がオナニーなんてするんですね!! 信じられないです!! 破廉恥ですね〜。」
と言われ俯きながら笑うしかなかったが、羞恥心よりも好奇心が勝り、次の質問を期待して石井さんの口元を見た。
「道具は使います？」
「指で触ります…」
「どこを？」
「胸から触って…、下も触ります…」
「下ってどこですか？」
「えっと…、アソコです…。」
「アソコってどこです？」
「その、あの、ク、クリトリス？ですね…」
「オナニーではイきますか？」
「はい…、イきますね…」
ドキドキしながら答えていた。何度も手で顔を仰いで、
「なんか恥ずかしくて汗かいちゃいました…」
下着の湿りが肌で感じれるぐらい濡れていた。
「実は奥さんにお願いがあるんですが…」
石井さんはまた白い封筒を差し出して手渡してきた。少しの不安と何があるんだろうという小さくない期待感で石井さんの目を見た。