第18話『寮監の誕生日』-2
ヒュッ――……パシィッ。
「よっつ……ありがとうございますっ」
かすかに回数を報告する声が震えた。 激痛が避けられない肛門、或は膣に鞭が近づけば、誰でも身体を強張らせる。 【A4番】とて例外じゃない。 自慰に耽った罪であれば、鞭打ち換算で5発もあれば十分だ。 次で躾は終わりにしよう。 ただし最後の1発は狙いを定めて……、
ヒュッ――……パシィッ!
「いっ……! い、いつつ……ありがとうございますっ!」
尻の真ん中で口を窄めた菊門を鞭が縦に薙ぐ。 【A4番】は苦悶を声の大きさに紛らわせるように、これまでで一番大きな声で報告した。
「正直に自分から申し出た殊勝さに免じ、これくらいにしておきましょう。 貴女たちは触れられれば即座に絶頂するみっともない存在なんだから、きちんと自覚して、相応しく恥を掻くように」
「は、はい……わたくしのオケツにご指導たまわり、ありがとうございました。 以後は肝に銘じますわ」
紅い線が刻まれたお尻をスカートに隠し、裾を折る。
「失礼いたしま――きゃっ!」
【A4番】が深々と頭をさげ、スカートを摘まんでその場を去ろうとした矢先だった。 9号教官の脇をすり抜けようとしたタイミングで地面に躓き、すってんころり、マンガのように鮮やかに転ぶ。 足元の土をヒールが抉り、砂がとんで9号教官のズボンにかかってしまった。
「だ、大丈夫?」
【A4番】を心配して手を伸ばすも、
「もっ、申し訳ありません! 大変申し訳ありませんっ! 寮監様のおみ足を汚してしまうなんて……なんてことでしょう! 本当に申し訳ありません!」
9号教官の言葉など聞こえないようで、僅かに跳ねた砂がついたズボンを見るなり、【A4番】は仰々しく頭をさげた。 まるでコメツキバッタである。
「いや……ええ……? 大丈夫みたいだけど……」
「阻喪を指導していただいた直後にこの体たらく……到底看過できないのは当然ですわ。 寮監様、改めて注意力散漫なわたくしのオマンコを、厳しく躾けてくださいませ!」
「はぁ……」
普段と様子が違う【A4番】に面喰いつつ、コクン、曖昧に首肯する9号教官。 かかったかどうかすらわからない砂などどうでもいいのに、つい【A4番】の勢いに押されて頷いた恰好だ。
「じゃあ、もう一度お尻を出しなさい。 もう5発分躾けてあげます」