峠-1
(峠)
時は江戸時代、
真夏の昼下がり
信州に入る峠にて
一人の渡世人が坂道を登ろうとしていた時、
坂の上より老人と娘が駆け下りてきて渡世人に近づき、
老人・・(助けて下せぇー渡世人さん!
やくざの連中に追われています、
どうか娘を助けて下せぇー)
やくざ達・・(こらー、待たんかい!
お前!そこの娘を渡せ!)
やくざ達が渡世人に
襲いかかったが一人を一瞬で打ち負かした。
渡世人・・(そいつは死んではいないよ、叩いただけさ、
どんな訳か知らないがあっしに助けを求めてきたからね・・
ひとまず、お引き取り願おうか!)
後から親分らしき者と一匹の土佐犬が現れた。
親分らしき者・・(俺は白子の源蔵と云う者だ、
ここら一帯を縄張りとしている親分さんだよ、
こちらの事情に入り込むのは控えてもらいたい、
この爺は平吉と言って俺の賭場で十両負けて銭が
無い為に一人娘を銭の代わりに貰う所さ、
それとも、旅人さんが肩代わりでしてくれるのかい?)
渡世人・・(源蔵親分、あっしは半次郎と云う半端な旅がらすですが、
この二人を助けたからには簡単にお渡しする事はできません、任侠道に外れますので、)
白子の源蔵・・(それではお前さんが代わりに
銭を払ってくれるのか?)
源蔵は半次郎を睨んだ、