離婚の理由-2
美奈子は正直に離婚までの経緯を説明してくれていた。時折遠くを眺め、おどけるように昔の話よと肩を叩いて笑ってごまかし、それでも最後まで話し終えた美奈子に胸が詰まる思いで見つめてしまっていた。佳奈を誤魔化すために海で声をかけ、もてあそぶように強引なSEXで気持ちを発散させる本当にどうしようもない僕に向かって、真面目に全てを伝えようと精一杯に語る美奈子に圧倒されてしまっていた。
「美奈子さん」
「なに？ちょっと重かったかしらね」
「いや、そういうことでは無いです」
「ちょっと何よ〜。何かへんなの」
佳奈を思い出した僕は何も言えなくなってしまっていた。美奈子が見上げた空を追いかけるように僕も星を眺め、これからの気持ちの整理を始めなければダメな状況を理解していた。美奈子を泣かすわけにはいかない。それは、最優先で理解している。それでも心の中で笑う佳奈の笑顔が僕の気持ちを混乱させていた。僕の本当の気持ちに疑問を投げかけるように佳奈の笑い声が頭の中で響き渡り、僕を苦しめるように佳奈の笑顔が頭から離れず、僕に向かって佳奈はあの声で楽しそうに笑い続けていた。