何があっても私だけは-1
「あぁーあ、今だ進展なし…か。」
「…うん。」
巴ちゃんに誘われ休みの日にテレビで美味しいと評判の喫茶店で二人で珈琲を楽しむ事に
「まっ、だからと言ってまた可笑しなトラブルが起きても困るけど。」
「……。」
例の騒動の後、佐伯君は家に引き籠るようになり、学校では長い風邪だ何て事になってはいるけれども。
「でも良かったね、……ん?良かったのか?あたしゃてっきり転校でもするのかと。」
「まぁそれはいくら何でも滅茶苦茶過ぎるからね。」
「ははっ♪」
笑い事でいいのかな…
一息つくようにカップを持ち上げ、珈琲を口にする彼女。
一方稲葉さんに関してもあれから刑に服しているものの誰も面会には訪れず。
二人の事は心配と言えば心配だが、私達にした仕打ちを想えば微妙だわ。
「もう二度と湧き出て来ないで欲しい?」
「そんなまたそうやって、ワラジ虫みたいに言う。」
「♪…、あっ!所で今日アンタの愛しのプリンス様はどうしたの?」
「え、風馬君の事?彼なら部活動に精を尽くしているわ。」
近々コンクールが控えているようで。
「まぁ彼も言ってたよ、「佐伯君も稲葉さんもあんな事して今はまともじゃないけど僕らの友達に変わりないよ…って。」
「ほぉーーう!」
「彼がそういう人だったから、きっとこの騒動を乗り切る事が出来たんだと思う。」
「若葉…。」
でも、もしも彼が居なかったら、ううん彼があんなに大らかで包容力溢れる人でなかったら私はどうなっていたか。
カップを両手で包むように掴み、そして小刻みに震える。
そんな私をじっと見つめる巴ちゃん。
「さっ!そろそろ出ようか!今春のセールで洋服が最大80%オフですってよ♪」
空気を一気に変えるようにパッと立ち喫茶店を後にする。