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《見えない鎖》
【鬼畜 官能小説】

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〈微笑みの裏側〉-5



…………………………………………………




「……だ…誰なの…?なんで…私……ッ?」


不可思議な眠りから覚めた花恋は、あまりの景色の違いに狼狽えた。

そこは殺風景なスタジオだった。
そのスタジオの中に敷かれた黒いマットの上に、花恋は仰向けにされていた。

思い切り顔を起こして辺りを見ると、以前のとは違うスタッフに囲まれ、身体には麻縄が巻き付いている。

上半身は後手縛りにされ、下半身は閂(かんぬき)縛りにされ、脚は完全に曲げた状態にされている。
そして襟や袖口が黒くなっている、実にオーソドックスな長袖の白いセーラー服を着させられていた。


『お〜、いまお目覚めかい?』

「ッ!?」


いきなり声を掛けられ花恋は驚いて跳ねた。

その真上から見下ろしてくる男を花恋は知らなかった。

短髪で中肉中背の中年オヤジは、無気味な笑みを浮かべながら花恋の髪を掻きあげる……それと同時に悲鳴があがり、その唇は孝明の名前を叫んだ……。


『孝明?そんな奴はここには居ないよ。ここにあるのは君がサインした《契約書》だけだ』

「!!??」


男が突きつけた一枚の紙は、紛れもなく花恋がサインした契約書だった。
孝明が差し出し、『形だけだ』と言っていた紙切れ……ニヤケた男の顔を見上げる瞳は不規則に揺れだし、その顔はガクガクと震えだしていた……。


「ち、ちょっと…私……何にも聞いてない…ッ!?それにそれは偽物の……」

『偽物ぉ?おいおいテメエふざけんなって……じゃあこの紙は何なんだあ?……そんなおふざけは通用しねえんだよぉ!』


男の一喝に花恋は怯んだ。唇を噤み、涙を滲ませる。それはこれまで味わってきた恐怖を遥かに超えた〈恐怖〉であった。


『この紙にサインしたんだろ?【私は〇〇映像社に一切を委ね、御社の製作する如何なる作品及び作風にも異議を唱えず、それに関わる全ての事態は自己に於いて責任を負います・元木花恋】……元木花恋てのは君の名前だろ?これは君の書いた字だろうが……君の拇印だろうが……違うかあ?』

「そ…れは…ッ!?」


花恋は言い返せなかった。
確かに自分で書いた名前であり、自分で捺した拇印である。

《嵌められた》という現実に変わりはないが、風雲急を告げる今、この男を論破出来るだけの言葉が浮かんでこなかった。



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