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調教学園寮夜話
【学園物 官能小説】

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第12話『史性寮祭』-2

 その後10組ばかり登場し、ステージが一区切りしたところで、休憩がてらの夕食だ。 無味乾燥なオートミールに添えて、オレンジジュースとポテトチップが添えられた、1年通じて数少ない豪華な食事――しかも手づかみでも犬食いでもなく、勿論膣越しでも尿入りでもない。 椅子に座ってスプーンで食べつつ、学年を跨いだお喋りだってかまわない。 普段は大量過ぎるオートミールを残さず食べるよう、貪るように強要されるが、今日に限っては最初からちょうどお腹いっぱいになる分だけが盛りつけてある。 突然『お喋りしてもいいよ』といわれても、いきなり先輩後輩の垣根を超えて話せるほど図太い寮生はいないから、基本的にはみんな静かに食事を摂るのだが、それでもチラホラ交わすぎこちない会話もあるわけで――ステージの雰囲気ほどではないにしろ、みんながみんな朗らかだった。

 みんなが食事を終えたところで、ステージの後半がスタートする。 前半に続き、ダンスとバンドが中心だ。

 まともなリハーサルは1度もしていないし、そもそも有志が練習に費やせた時間じたい、ごくごく限られた期間しかない。 それでも有志として舞台に上がった全員が全員、立派な演出で客席を沸かせた。 ダンス系、バンド系の他にもフレックス編成でのアンサンブル、ピアノでの連弾、管楽器のソロ、或はソリと音楽系が中心なステージではあるが、中にはリフティング、ジャグリング、組手、演武のような体育会系の演目もあって。 どの有志も、学園で求められる『猥褻さ』『下品さ』『卑猥さ』なんて欠片もない、清々しい姿を見せる。 そんな姿を通じて、膣や肛門を曝け出して恥知らずに振舞ってばかりいる自分たちの内側には、実は豊かな素養に溢れていることを、改めて寮生全員が認識した。 何より、進行表をマスターしているかのごとく全員がスムーズに動いた。 普段から培ってきた、周囲の状況に気を配り自らで考えて動く習慣があればこそ、といえるだろう。 

『気持ち良かった。 また頑張ろうって気持ちになる』

『みんなのことがもっと好きになれたし、スゴイと思えてよかった。 自分のことも少しだけ好きになれそう』

『やりたいことがさせて貰えない毎日けど、負けたくないし、負けない』

 演技を終えたBグループ生がステージに残すコメントは、学園で徹底的に貶められているというのに、後ろ向きなものは見られない。 もちろん、前向きな少女だけがステージにあがっていて、そもそも後ろ向きな少女は客席から出てこないのも一因だが……。

 Bグループ生がつくった雰囲気にのせられたのか、Cグループ生の有志もステージ上では笑顔だった。 【2番】のピアノは見事な腕前だったし、【29番】のソプラノも味があったけれど、それよりも特筆すべきは2人が醸す雰囲気だろう。 寮生活の中で、新入生は極度の緊張を強いられる。 いつも強張った表情だからこそ、はにかんで伏し目になったり、嬉しそうに口許をほころばせる様子が新鮮で、それだけで場が和やかになる。 続いてステージにたった【22番】は、自分が幼年学校時代に大好きだったという、旧世紀の詩を朗読した。 『雨ニモマケズ、風ニモマケズ……』、前を向いて口許を結び、1語1語紡ぐ姿は、普段率先して自分を辱める姿と真逆。 けれど、前者はもちろん後者ですら、どこか凛々しいのが【22番】だ。 若干風変りなステージではあったが、朗読を終えて送られた拍手は、他のグループに負けずとも劣らない盛大さだった。

 B、Cグループの有志が下がり、Aグループ生全員がステージに登る。 それまで照明、音響、進行、司会と裏方に回っていたAグループ生が選んだのは『合唱』だ。 【A4番】がピアノを担当し、残りの4人がソプラノ、アルト、テナー、バスの位置に立つ。 旧世紀から伝わる『歓喜の歌』――既に失われた原語で、本来の旋律を再現する。 『フロイデ シュェーネル・ゲッテルフンケン トフタル・アオス・エリュイジウム……』、誰も正確な意味は分からないはずなのに、後輩たちは誰もが真剣で、一言も漏らすまいと耳を欹(そばだ)てる。 中には薄っすら涙を浮かべる少女もいた。 歌い終えて深々と頭をさげる最上級生5人に贈られた拍手は、間違いなくこの日1番大きかっただろう。

 史性寮祭のフィナーレは、上級生1人ずつからの、後輩へのメッセージだった。 

「今日はとても楽しかったです。 みんな、本当は毎日こんな風にできたら一番なんだろうって思います。 でも、そういうわけにはいきません……。 また明日楽しく頑張ろう、なんていえないんです。 でも、少なくともあたしは、みんなの今日の姿を忘れません。 みんなも、今日のことは忘れないで、辛いことがあったら思い出したらいいんじゃないかな、って思います。 明日から厳しい先輩に戻りますけど……一生懸命なのは、多分みんなと同じです。 これからも一緒に、史性寮で頑張りましょう」

 ペコリ、小さく会釈する【A1番】。



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