第7話『牝豚調教』-1
『牝豚調教』
『M奴隷』の『M』は『マゾ』であり『メス』であり『マス』を意味する。 生産効率や機能性を重視し、自分の全てを後回しにして物品に身を貶める『モノ』とは違う。 自分を後回しにして奉仕する点は同じだが、目的は『モノ』としての完成度をあげることではなく『対象を愉しませること』。 『モノ』としての振舞いは常に正解があり、置かれた状況がどうであろうと正解はほとんど変わらない一方、『M奴隷』の振舞は対象の数だけ正解がある。 例えば9号教官に奉仕するM奴隷と、2号教官に奉仕するM奴隷では求められる振舞は180度異なるわけだ。 そういう意味で、学園の生徒はまず『モノ』としての嗜みを身につけてから、続いて『M奴隷』へとステップアップする。 最終的にはどちらにも適応できる自分を示して初めて、学園の卒業を認められる。
衣裳部屋から現れた9号教官。 ピッチリ体にフィットしたラバーから覗く、引き締まったお尻と大きく割れた胸元。 誰がどう見てもそれとわかる、立派な『女王様スタイル』をしていた。
寮監業務には生徒生活の監督が大きい部分を占める。 ゆえに寮生活における不備を見つけた時はもちろん、特に不備がない場合でも、予防の意味を込めて生徒を呼び出して指導しているのだが、対象は『B・Cグループ生』が中心だ。 或る程度まで躾が『完成』しているAグループ生を指導する場面は、寮監にはほとんどない。 『女王様スタイル』――久しぶりに『躾が行き届いた』生徒を責めるため、ちょっぴり気合の入った恰好になってしまう。
部屋から出てきた9号教官を待っていたのは、手足を縮こめて仰向けに寝そべる寮長こと【A4番】。 鼻には最も張りがキツイ『2鉤型鼻フック』をセットして縦方向に全開だ。
コツ、コツ、コツ。
9号教官のハイヒールが床を叩き、【A4番】は仰向けのまま瞼を開けた。
「……大変見苦しい体をお見せし、はしたない姿で失礼致します。 どうか、わたくしのだらしない下(しも)に、寮監様のお慈悲、御検分をいただけますでしょうか。 伏してお願い申し上げます……」
実際、ついさっきまで楚々と振舞っていた少女と同一人物とは思えないほどに【A4番】は爛れた格好に身を窶していた。 ただ仰向けに寝転がっているように見えるが決してそうではない。 ピタリと腿をお腹につけてお尻を浮かせ、牝の持ち物が閉じないよう太腿を左右に緊張させる。 口は半開きで舌を伸ばす。 『2鉤式サイドフック』を両の目じりにかけて後頭部で留めたため歪なタレ目になっており、鼻は四方型の鼻フックで全力拡張、ピンク色の耳がついたヘアバンドをつけた格好は立派な牝豚だ。 特筆すべきは下腹部と肛門で、下腹部はパンパンに膨らんでおり、さっきまでの薄っすら腹筋が浮いて引き締まったお腹が見る影もない。 お腹の張りでオヘソの窪みがなくなるくらい、腹全体が高々と隆起して張りつめている。 肛門には桃色のネジ式プラグがピチリと嵌っていて、短い尻尾がクルリと上品に巻いていて、さらに手、首、足には揃いの真っ赤な革製拘束ベルトを事前に巻いており、全身の穴、全寮生の中でも指折りに整った肢体を、惜しげもなく隅々まで晒していた。
「これも寮監の仕事ですから、遠慮はいりませんよぉ。 それにしても……」
ジロジロ、寮監は【A4番】の頭のてっぺんからつま先までねめまわした。
「……いつみても綺麗なオマンコだこと。 灼けちゃうくらい」
薄く微笑みながら、ヒールの踵で仰向けの股間をつつく。 自然に捲れた包皮から覗いたクリトリスは、見ている方が恥ずかしくなるほどコリコリにシコッているし、適度に陰唇は潤いを湛え、色素が沈着しきっていない膣はかろうじてピンク色の範疇だ。 少女の膣というには使い古されているものの、ビラビラがだらしなく伸びきった鮑とは違う。 決して下品に爛れてはいない。
「学園で3年も経ってるっていうのに、この形は反則ねぇ。 まるでオボコで通じちゃうんだから、こんなオマンコに産んでくれたお母さまに感謝しなくっちゃ」
「……身に余るオマンコ、お褒め戴き恐縮です」
下半身を踏みつけられながら会釈を返す【A4番】。 学園では牝の持ち物を『チツマンコ』や『ケツマンコ』というように表現するのが原則だが、ただし『M奴隷』となれば言葉遣いにも品性が求められるため、Aグループ生が『M奴隷』として振舞う時、言葉遣いは下級生と違ってくる。 例えば膣は『オマンコ』、お尻は『オケツ』という具合で、如いて言えば『上品な奴隷言葉』が認められていた。
「このあとしっかり鍛えてあげるからね。 じゃ、ヒトの口上はこのくらいでいいから、今日の趣旨にお戻りなさい。 まさか私に躾けて貰うっていうのに、ヒト扱いしてもらえるつもりじゃないんでしょう?」
グリッ。 今度はヒールの爪先をつきたて、寮監は【A4番】の膣口をほじる。
「……ッ」
【A4番】が息を呑んだ。