第7話『牝豚調教』-2
「さっさとお返事なさい。 せっかくオマンコで靴ファックさせてあげてるのに、反応が遅いと興醒めよ」
「ぶひっ……ぶうぶう」
一度目を閉じ、ギュッと瞑ってから開いたとき、瞳には知性が抜けていた。 不細工に広がった鼻の穴を、更に膨らませる【A4番】。
「そうね。 どう考えても貴女のは豚の恰好だから、ブタ語でお話しするべきねぇ。 でも、そういうあからさまな鳴き声は好みじゃないの。 もう少しリアリティが欲しいわ」
「……フゴッ。 フガッ、フガッ」
寮監のコメントを受け、【A4番】は息を激しく吸い込みながら鼻孔を鳴らした。 さっきよりも聞き苦しい、耳障りな濁音だ。 餌に顔をつっこんで漁るとき、確かにブタはこんな風に鼻を鳴らす。
「うーん……まだちょっとヒトっぽいけど……ま、この辺でよしとしましょうか。 じゃあ、さっそく『M奴隷』の身だしなみが出来ているか、確かめましょう」
器用にヒールの踵を操り、横たわる少女の陰唇を拡げる。 汚れ、シミのないピンク色の地肌は、ほんの少し濁った分泌液でテカっていた。 次はバック。 脚で軽く太腿を蹴とばすと、【A4番】は意図を察してひっくり返った。 脚を抱えたまま回転したため、カエルが地べたにへばりつく恰好。 そのまま剥きだしの肛門にヒールを挿し、二、三度グリグリほじりまわす。 乱暴な菊門の蹂躙に対して、【A4番】は僅かに身体を捩っただけで、ジッと為すがまま耐えきり、ヒールを抜くタイミングで菊門を締める。 寮監が抜いたヒールには、一目見た所、茶色い欠片はついていない。 今度は腰だ。 お腹が膨れているとはいえ、どのくらい本来の『括れ』があるかは、足で触れば見当がつく。 横から腰を蹴ったり、上からお腹を踏みつけながら、寮監は少女の肉質を確かめた。 パンパンなお腹を踏まれたときは、流石の【A4番】も一瞬苦悶を浮かべたものの、すぐに『フゴッ』と豚の声に変換したから御咎めなしだ。
その後も尻肉、乳房、肌のハリ、ツヤ、一通りヒールで確かめる。 『恥垢がついていないか』『シミ・ニキビ・雀斑等汚れがないか』『恥毛処理は完璧か』『奴隷に相応しい肉づきか』『きちんと発情しているか』といった項目が『M奴隷』の必須条件だ。 見た所オマンコの襞間も肛門も汚物と無縁のようだし、身体の管理は上出来といえた。
「はい。 四つん這いになる」
一通りチェックを終え、パラリ、手にした九尾のバラ鞭を乳房に落とす。
「ブイッ」
小気味よく豚声で返事をすると、【A4番】はM字開脚を解いて地面に這った。 ただし、普通に這ったわけではない。 手足を縮こまらせ、床につけているのは『肘』と『膝』だった。 そうすることで、手のひら、足の裏を床につくよりも、より床とお腹の距離が近づく。 即ち手足が短い豚の恰好に近づくわけだ。 代償として『動きにくい』点や『膝や肘が床と擦れてすりむける』点はあるものの、『M奴隷』として豚を模すなら、このくらいやって当然といえる。
「『M奴隷』の演出に『家畜』を選んだのは褒めてあげましょう。 動物になっちゃえば一々問答しなくて済むし、言葉遣いの不作法を叱られることもないし、躾て貰うには好都合だものねぇ」
プルプルと尻尾付アナルプラグがついたお尻を振る【A4番】を、寮監が見下ろす。
「でもねぇ……豚を選んだのは、貴女にしたら浅はかよ。 どうしてかわかる?」
「……フゴ、フゴッ」
ブルブルッ、【A4番】は真っ白で引き締まったお尻を、左右に大きくふってみせた。
「あら、意外とお間抜けさんなのね。 だって貴女、お尻もだけど、どこもかしこも真っ白じゃない。 これじゃせっかくお腹を膨らませたって、桃色お肌の豚さんだなんて通らないわぁ。 もっと肌に赤味がさして、発情しっぱなしの身体じゃないと。 オマンコだけビチョビチョに発情させたってだーめ……ってことで、貴女が一人前の豚になれるよう、私が一肌脱いであげるわね。 さっ、最初はこのプリッとしたお尻からいくわよぉ」
ビシッ、両手でバラ鞭をしならせる。 寮監の意図を察してか、
「……フゴォ、ブヒィ……」
【A4番】は哀し気に鼻を鳴らし、そっとお尻を差し出した。
パシィッ。
すかさず寮監が鞭を振るう。 先の別れた革がほどけ、【A4番】の小ぶりな尻を横に薙いだ。 真っ赤な鞭の痕が尻に浮かぶ。
パァン、パァン、スパァン。
手際よく左右から鞭を振るい、乾いた破裂音が連続する。 手首のスナップを利かせ、ちょうどバラ鞭の『撓り』がお尻に合わさらないと、こうも小気味よい調子にはならない。 音のたびに赤い線が純白の肌に刻まれる。
パァン、パァン、パァン、パァンッ。
「……っ、……っく、……っ、……んっ」
ひっきりなしに鞭の雨を尻で受け止めながら、けれど【A4番】は黙って耐える。 鞭を振るうにもタイプがあり、叩かれる苦痛を悲鳴という形で表現することを好む主人もいれば、自分の意志を抑えて冷静に痛みをコントロールする知性を求める主人もおり、寮監が属するのは後者なためだ。