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〈不治の病〉
【鬼畜 官能小説】

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〈不治の病〜治療用献体・笹木希〉-6




『へえ…、もう捕まえたんですか。さすが手慣れたものですねえ』

「ッ!?」


個室に入ってきたのは、病室で最初に話しかけてきたあの患者だった。
いや、一人だけではない。あの病室にいた患者全員がぞろぞろと入ってきたのだ。
その6人の患者達はストレッチャーに乗せられた希を助けようともせず、周りを囲んで見下ろしてきた。


『パッチリした二重瞼にプルンプルンの唇……理想的な美人ナースだよなあ?』

「ふ…ッ…う…!」

『これなら大枚叩いて入院しにきた価値があるってもんですよ』

『もしかして震えちゃってる?オジサンは怖くないよ〜?ヒッヒッヒ』


なぜストレッチャーに乗せられたのか、その理由が分からない。
なぜ入院患者がこんな立ち振舞いをしてくるのか、やはり希には分からない。
そしてナース達の足音や話し声の一つも聞こえてこない理由も、全く分からなかった。


『美しい女性をメチャクチャにしたい……そんなリクエストが私の所に届きましてねえ……坂口亜矢とか亀田絵莉とか……聞いたこと無いかな?』

「ッ!!??」


この個室で希を待ち構えていた痩せたオヤジは、勝ち誇ったように二人の女性の名前を口にした。
坂口亜矢という女性を希は知らなかったが、亀田絵莉という女性は知っていた。
行方不明になったと盛んにニュースで取り上げられていた女性の名前だったからだ。

希の表情は見る間に強張った。
この不審な患者があの女性を知っているという事は、きっと事件の関係者に違いない……そしてこの不当な拘束が、院内にも関わらず行われたという事は……次々と恐ろしい想像が沸き上がり、そして耐えきれなくなった希は助けを求めて大声を発てた……。


「あむ"ぅ"ぅ"ぅ"ッ!」


もう忘れていた……布製のガムテープは希の口をベタンを塞ぎ、その叫び声を鼻の穴から噴射される呻き声に変えてしまった……その小さな声を撒き散らしたところで助けなど現れようもなく、いくら顔を振り回してみても、ガムテープの粘着力を無力には出来ない……。


(こ…声が…ッ!?誰か…誰かあッ!)


オヤジは希の顎を掴み、勝ち誇りながら見下ろした。
大きな瞳は早くも涙で潤んでおり、美しいラインを描く鼻は赤く染まっていった。


『絵莉って女は新婚ホヤホヤでさあ、声を嗄らせて旦那の名前を呼んでたっけ……「純一さん助けて」とか叫びながら……ヒヒヒッ…そりゃあ惨たらしかったぜえ?』

「む…う…ッ!」


オヤジの話を聞くまでもなく、見開かれた眼球は充血が始まり、涙がコロリと転がり落ちた。
〈次は自分の番〉に違いないのだ……。



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