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〈不治の病〉
【鬼畜 官能小説】

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〈不治の病〜治療用献体・笹木希〉-5

『……あんた直ぐに顔に出るんだね。直した方がいいよ』


仏頂面の婦長に言われたくはなかったし、そもそもあんな事を言われて平然としていられる方が可笑しいだろう。
希は唇をへの字に曲げて軽く頭を下げると、マイペースにも病室を出ていった婦長の後を追った……。




『……想像以上に美人じゃないか?』

『ありゃあ反則だよ、亜矢が霞んで見えるぜ』


入院したばかりの患者達は、たった今肉眼に捉えた“お目当て”の美貌のナースに興奮しっぱなしだった。
白衣の天使とはまさに希の為の言葉であるし、これからあの美女を《物》として扱えるのだから堪らない。


『……あ〜、私だ。もう狩っちゃってくれない?少しでも〈活き〉が良い方が都合いいしさ……』


白髪オヤジは院内にも関わらずスマホで何処かへ電話を掛けると、やや顔を紅潮させて他の患者達と笑いあった。

希はもはや、二度と自分の意思ではこの病院から出られない。
計画は今、進められたのだ……。



…………………………………………………




(何なの、この病院……最悪じゃない……最低、最悪よ……)


希は心の中で愚痴りながら、指示された病室へと向かっていた。
そこは手術を控えた患者が利用する個室であり、何故か婦長にそこに『行け』と言われたのだ。


(この部屋か……)


ナースステーションとエレベーターの間にある其所は、そのエレベーターを下りれば手術室へと直ぐに向かえる。
希は何も持たないまま、何をするのか分からないままにドアをノックし、中へと入った。


「……失礼します…?」


中に入ると屈強な患者が四人と、痩せた患者が一人いるだけだった。
ベッドは何処にもなく、ストレッチャーが置かれているのみ。

可笑しな事ばかりが続いていた事と、職場への嫌悪に不機嫌になっていた希は、この“不自然さ”に対する警戒心が薄れてしまっていた……。


「あの…ここで何を………んむッ!?」


突然、大きな掌が希の顔面を覆い、顎の稼働域を奪うように握ってきた。
パニックに陥った希は無我夢中で患者を振り払おうとしたが、その時には既にストレッチャーに乗せられ、拘束ベルトを締められてしまっていた。


「むおぉぉぉおぉッ!」


いつの間にか口はガムテープで塞がれており、逃げるどころか助けすら呼べない。

こんな所でのいきなりの暴力行為に、まだ希は“事態”が飲み込めないでいた。



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