〈不治の病〜治療用献体・笹木希〉-18
(い…いつまでも……す、好きになんか…ッ)
ズルリと滑って的を外した亀頭は、尚もしつこく潜り込もうと先端を押し付けてくる。
右手でしっかりと握り、体重を掛けて……払い除ける術を持たない希は防戦一方のままだ……。
(し、しつこいのよッ！い…いい加減に……!?)
筋繊維が切れたような〔メリッ…〕という音が聞こえた……その刹那、肛門に明らかな異物の侵入を感じた希は、悲痛な叫びをあげた……。
「む…ッ!?む"う"〜〜〜〜ッ！」
確実に其れは男性器だった……まだ諦めきれない希の肉門を抉じ開けにかかり、互いの肉体を１つにしようとしてくる……。
『ヒ…ヒヒヒ！キツキツのギッチギチだあ……待ってろ、今に奥まで……』
(ぬ、抜いッ…!?抜いてえッ！ダメえ！い…入れるなあッ！)
ウサギの巣穴に潜り込むニシキヘビのように、肉棒は希の肛門にズルズルと入っていく……体重を掛け、腰を打ち付け、太股を抱えて引き寄せ……あの手この手で肉棒を潜り込ませる畜人は、ついに念願の同体に至った……。
(けッ健二さぁんんッ！い、嫌よこんなッ…こ、こんなあッ！)
肛門の“解れ”を促進させるような緩やかな腰使いは、希にとっては忌々しい以外の何物でもなかった。
入っている。
繋がっている。
１つになっている。
そんな残酷な現実を執拗に突き付けてくるピストン運動は、さっき味わった言葉の暴力や変態行為よりも手酷く希を責め立て、生きていく希望や意味すらも奪い取ろうとしていた。
『ど、どうです？のんちゃんのアナルの具合は？』
『どうもこうも最高ですよ。気合い入れて勃起させてないと、逆に握り潰されそうですよ？』
『エへ…エへ……そんなに好いんだ……は、早くヤリたいなあ……』
もう抵抗は見えなかった。
いや、心の中では健二を呼び、患者達に歯向かってはいるが、ベッドへの拘束が視覚として確認できる抵抗を封じているのだ。
(やめて…ッ…や…めろッ！やめろって言ってるのよぉッ！)
この縄さえなかったなら……希は患者達を蹴飛ばすことも殴り付けることも出来たはず……次々と沸き上がってくる言葉も感情も表せないままの希は、ボロボロに崩れてしまった表情のまま睨み付けるのが精一杯で、しかし、卑劣な肛姦に曝されたままだ。
『た、堪りませんなあ……ヒヒ……アナルの中に“種付け”してあげよう……』
「!!!」
肛門の中に射精されたとしても妊娠は有り得ない。
それでも希は戦慄を禁じ得なかった。
例え妊娠の危険性が無いにしても、好きでもない異性の遺伝子を体内に放たれるのは恐怖であったし、その女性に対しての侮辱行為が許せないからだ。