第11話 雑踏の痴態-9
Aは、由真の正面から近づいて行った。由真は、ただならぬ気配を感じた。男の、自分を見る視線だけで、由真は犯されると感じた。そしてその想いは、由真の中に恐怖や羞恥や嫌悪をもたらしたが、それ以上に、期待と興奮を呼び起こしていた。
媚薬と度重なる絶頂により、由真もすっかり、快感への欲求に心を支配されていた。ヤられたい、犯されたい、そんな願望が、由真の胸中を満たしているのだった。
Aは、由真の正面に立った。由真は、Aを見つめ返した。Aは、由真の両肩に手を置くと、由真のふくよかな乳房に、熱い視線を注いだ。すらりと背の高い由真の乳房は、Aにとっては実に鑑賞に適した高さに位置していた。じーっと、粘度の高い視線で、舐めるように凝視した。いや、視線によって、由真のカラダを舐め回したと言っても、良いだろう。
体操服の、清潔な白い布地を、絶大な圧力で押し上げる由真のたわわな乳房を、Aは土産物店の片隅で、10cmくらいの至近距離から、彼女の両肩に手を乗せた体勢で、ひたすらに凝視し続けたのだ。
犯される事への期待感すら持っていた由真は、その視線に、羞恥の念と興奮の、爆発的な高鳴りを感じた。股間がズキンと疼く。思わず、ギュッと、内股になって股間に圧力を加えた。薬で敏感にさせられた由真のヴァギナは、そんな内股になっただけの刺激でも、異様な程の快感を覚えた。
とうとう由真は、見知らぬ男に、体操服の上から視漢《しかん》されるだけでの絶頂を、体験する事となった。ただ、両肩に手を置かれてじっと凝視されているだけなのだが、由真は絶頂し、のけ反り、深い吐息と喘ぎ声を漏らしたのだった。
絶頂に意識を漂白される。余韻と共に、意識は空を彷徨う。しばらくして、意識は由真のもとに戻って来る。視線が焦点を結ぶ。目の前の男を見る余裕が生まれる。男の視線が、相変わらず自分の肢体に注がれている事に気付く。
今度は、股間から乳房までを往復するように、視線が由真を舐め回していた。視線が熱量と圧力を持ったかのように、股間が、下腹部が、乳房が、熱くなり、疼きを覚えた。上から下に、下から上に、乳房からヴァギナに、ヴァギナから乳房に、視線は由真を舐め上げ、舐めおろし、熱と疼きという刺激を、由真に味わわせて行く。
由真はまた、絶頂した。意識が飛び、戻って来て、また視線に舐め回される。Aの視漢による由真の絶頂は、3度にも及ぶことになった。服を脱がされることも、性感帯を刺激される事も無く、処女の女子高生が、土産物店の片隅で3回も、視漢だけで絶頂したのだった。
そのタイミングは丁度、佳代子が辰己に、乳房を揺さぶられるだけでの絶頂を堪能している頃だった。
Aは、3回目の絶頂の余韻に浸る由真を残して、歩き去って行った。Aが去っても、由真のヴァギナは刺激を受け続けている。薬によって、一歩踏み出すだけの摩擦や振動でも、由真は快感を覚えてしまうのだ。遠ざかるAの背中を見守りながら、由真はギュッと内またになって股間に刺激を与え、その自ら生み出した刺激で、1人で佇みながらの絶頂にも至るのだった。
絶頂の余韻の中で由真は、別の男が、彼女をめざして真っ直ぐに歩いて来るのに気付いた。辰己が、由真のもとに近付いて来ているのだった。
その辰己の背中を見つめつつ、佳代子が一人で佇みながら、誰にもどこにも触れられることも無く、記憶と妄想だけで絶頂に至っている事にまでは、由真が気づく事は無かったが。
由真はもう、予感していた。辰己にも、視漢で絶頂させられるのだろうと。そして、その通りになった。
体操服に包まれた自分の身体が、こんなにも卑猥でエロティックなものに思えている事に、由真は驚きを感じていた。清潔な白い布地の凹凸を、自分で眺めるだけで、何とも言えない興奮が湧き上がる。それを、見知らぬ男に至近距離から凝視される。今の由真には、それは、十分に濃密で過激な愛撫なのだった。
お土産屋の片隅で、すらりと背の高いカラダをのけ反らせ、豊満な乳房の揺れで体操服を波打たせ、由真は、辰己による視漢で、絶頂を繰り返した。
美紀子は、電マが入っているきんちゃく袋を、ギュッと抱きしめていた。何度かその体勢で絶頂を堪能したが、そこが土産物店の一角でだったと思い直した美紀子は、激しい誘惑に打ち勝って、電マの電源をOFFにしていた。
だが、もう限界だとも、美紀子は思っていた。快感が欲しい。股間を刺激したい。その衝動は、強まる一方だ。
そんな美紀子が、Aの存在に気が付いたのは、由真が辰己に視漢され始めたのと同じ頃だった。
美紀子の隣に陣取ったAの顔を見た瞬間、美紀子は、自分がこの男に犯されるのだと予感した。Aはそういう目で美紀子を見ていた。彼女の乳房からヴァギナの辺りを舐め回すようにして、その肢体への欲望を、露わにしていたのだ。
美紀子の興奮は高まった。刺激への要求も激増した。ヤられたい、そう思っていた。この男に犯してもらいたい、そんな欲情に苛まれていた。きんちゃく袋の上から、美紀子の指が電マのスイッチに触れていた。もう、今すぐにでも快感が欲しい、そんな想いをギリギリのところで堪えて、スイッチに指を掛けたまま、美紀子は最後の抵抗を試みていた。何とか、電マをONにしたい誘惑を押さえていたのだ。